現地レポート:韓国、ソウル&仁川の新デスティネーション

  • 2014年4月22日

従来のメジャー商品に代わる新ツアーを提案
ソウル&仁川の新エリアで歴史と文化を歩く

ツアー化されていないソウル
歩いて王朝時代の歴史に触れる

家具博物館は建物自体も韓屋を移築したもの。農民や貴族などいくつかの韓屋がある。室内に座って説明を聞くと、当時の生活が目に浮かぶよう

 現在のソウル観光では、仁寺洞、三清洞、北村など、伝統的家屋の韓屋(ハノク)を改装したカフェやショップが並ぶ通りを歩き、現地の文化を肌で感じられる街散策の人気が高まっている。今回の視察でKTOは、日本人にあまり知られていない場所として、2つのエリアでの徒歩ツアーを提案した。

家具は韓屋の部屋に設置されているものもある。建物の細工や庭園、博物館からの眺望も素晴らしい

 その一つが城北洞(ソンブットン)。朝鮮王朝時代に貴族や官僚などが住んでいた北村のさらに北方に位置し、現在は韓流スターのペ・ヨンジュン氏などセレブが多く住む高級住宅地だ。山の手で地下鉄駅から離れており、旅行会社だからこそ連れていきやすいエリアといえる。

貴族の別荘庭園「城楽園」は視察時は整備中だった。所有者は家具博物館と同一人物

 ここの見ものは、朝鮮王朝時代のアンティークの家具を収蔵する「家具博物館」。韓国伝統の建物を移築し、部屋に置くような形で展示をしており、ガイドツアーではその時代の家具の特徴とともに生活様式を解説してくれる。デザインは素朴だが、木目を生かすのが韓国の伝統家具の特徴で、木の内側が黒くなる柿の木や、病気にかかると独特の模様を作る楓などでつくられた家具は、唯一無二の美しさだ。博物館のオーナーは経済成長で韓屋が近代的な建物に建て替えられるなか、韓屋とその屋内に残る伝統家具を宝物のように感じ、収集したのだという。

西村はこれからの観光地。路地散策は好奇心がそそられる

 もう一方は、景福宮の西側の西村(ソチョン)。ここは朝鮮王朝時代、医師や弁護士など中人(チュンイン)と呼ばれる中間層の人々が住んでいたという地区。北村に次いで韓屋が残るエリアで、韓屋保存地域に指定されている。最近観光地として打ち出し始めたばかりで、生活感が濃い雰囲気が興味深い。北村に比べると庶民的で、韓屋の並ぶ素朴な細い路地を歩いていると、地域に住む住人とすれ違うことも多い。ソウルでは現在、韓屋を保護する政策をしており、今後もこの雰囲気をとどめたままの整備をしていく方針だ。

通仁市場の名物「市場弁当」はこのマークの店の惣菜を選んで詰める。昼時は行列ができるほどの人気

 街歩きのあとは、朝鮮王朝の王室の遺物や関連資料を展示する国立古宮博物館へ。歴史・文化に触れた後だからこそ、展示物への関心が高まるだろう。館内に展示されている当時の宮廷周辺を描いた大きな地図で、実際に歩いたルートを指し示して振り返れば、よりいっそうツアーの印象が深まりそうだ。

ふと目に入った店でのショッピングも散策の楽しみ。西村のコースで

 このメインの素材に、城北洞エリアでは半日からの日帰りテンプルステイが可能な「吉祥寺」や、19世紀の貴族の別荘庭園「城楽園」などと組み合わせたルートを提案。西村では気に入った惣菜を選べる「市場弁当」が人気の通仁市場、社稷公園などを組み入れたルートが提案された。