JTB、シンガポールの旅行会社買収-富裕層のアジア発海外を強化

  • 2014年3月18日

 ジェイティービー(JTB)は2月28日、シンガポールの大手旅行会社、ダイナスティ・トラベル・インターナショナル(ダイナスティ)を買収した。ダイナスティは中間層、富裕層に強い顧客基盤とブランド力を有しており、JTBでは買収により、訪日旅行を含むアジア発海外着のレジャー事業を強化する考えだ。

 JTBはグローバル戦略として「世界発世界着」需要の取り込みを強めており、アジアではグループのアジア・パシフィック地区統括会社であるシンガポールのJTB PTEを中心に展開してきた。

 今回の買収もそうした取り組みの一環として実施したもの。シンガポールを中心にインドネシアやマレーシアの顧客を持つダイナスティをグループ内に取り入れ、同社のブランド力、商品造成力、顧客管理力を活用することで「アジアNo.1の旅行会社」をめざす。商品造成も共同でおこなう計画。また、ダイナスティが独自に開発した、スマートフォンなどモバイル端末での予約、決済システムも活用していく。

 今後はシンガポールでの富裕層向けレジャー事業を強化するとともに、モバイル化を推進。加えて、シンガポール現地法人向けのMICE事業により、ビジネス需要の獲得にも取り組んでいく。

 さらに、アセアン地域全体の旅行需要の取り込みをはかる。ダイナスティブランドを活用し、中間層から富裕層市場への参入をフランチャイズ、または独自店舗の展開により進めていく。また、モバイルシステムをアジア全域に広げ、BtoCの販売体制を構築する考え。

 このほか、アジア発の訪日客の誘客も強化。ダイナスティの既存商品や今後の共同開発などで、訪日旅行のコース数を現在の2.4倍にあたる1000コースに拡大する目標を掲げている。

 なお、ダイナスティは1978年設立の旅行会社で、2月28日付でJTB PTEの100%子会社となった。資本金は172万5000シンガポールドル(約1億4000万円)。従業員数は約103名で、2013年度の売上高は約76億円。