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トップインタビュー:成田国際空港代表取締役社長の夏目誠氏

  • 2013年10月15日

「選ばれる空港」めざし攻めの姿勢、LCCへの取り組み強化

-今後の路線計画について、お考えを聞かせてください

夏目 成田の強みは豊富でバランスのとれた航空ネットワーク。中長距離路線の拡充に加えて、今後拡大の余地がある4000キロメートル未満のアジア近距離路線にも取り組んでいきたい。

 特に中国内陸都市の潜在性が高いと考えている。LCCの守備範囲だと思うので、LCCに期待するところは大きい。残念ながら現在の日中関係を考えると、時間が少しかかるかもしれないが、関係が正常化すれば、成田からネットワークが張られるのではないか。

 また、4000キロメートル未満を考えれば、東南アジアが若干残っている。ベトナムのダナンや北マリアナ諸島のロタ、航空当局間協議次第だがフィリピンのダバオ、クラークなどについてもアプローチをしていきたい(※編集部注:インタビューを実施した9月3日現在。その後、フィリピンは航空当局間協議の結果、オープンスカイ化)。また、エイチ・アイ・エス(HIS)が立ち上げたアジア・アトランティック・エアラインズ(HB)などチャーター便の拡大にも期待をしているところだ。

 一方、国内線の拡充も重要だ。国内線がさらに充実すれば、地方都市からの国際線へのアクセスが可能になる。現在、地方空港から仁川など海外の空港を経由して海外旅行に出かける旅行者も多いが、そうした需要の取り込みも期待できるだろう。また、千葉、東京東部、北関東などからの純粋な国内線利用も増えていくと思う。

 中期経営計画では、2015年度までに年間航空機発着回数26万回をめざしており、このうち国際21万回、国内5万回が目標だ。国内線と国際近距離線両方でLCCを増加させ、LCCの比率を全体で2割ほどに上げたいと考えている。


-LCC対応として、専用ターミナルの整備も進んでいますね

夏目 LCC専用ターミナルは延べ床面積約6万6000平方メートルで、LCC専用ターミナルとしては国内最大規模になる見込みだ。旅客数で年間750万人程度、発着回数で年間5万回程度の処理能力を持つことになる。

 NAAでは、とにかくLCCのビジネスモデルに合致した低廉で機能的なターミナル整備を前提としており、建設コストや運営コストの低減をはかっている。当初事業計画は200億円。そのうち150億円程度を本体建設に見込んでいたが、約112億円で契約することができた。

 当初計画では、LCC専用ターミナルのスポットは計10スポットを予定していたが、LCCの利便性向上のために新たにサテライト北側の5スポット整備も決めた。航空機の誘導路の関係で1スポット減少するため、新計画では全部で14スポットになる。空港敷地を拡張する必要があるため、拡張範囲内にあたる地域住民の方々に施設整備を説明し、協力をお願いしているところだ。