海外旅行市場の新たな動きと対策-エイビーロード海外旅行セミナー

  • 2013年7月16日

渡航先-再訪意欲かきたてるのは“住民の力”
韓国・中国は今こそリピーター対策を

 海外旅行をする目的では「おいしいものを食べる」(47.9%)、「名所・旧跡を観光する」(45.5%)、「街歩きをする」(45.0%)、「ショッピングをする」(42.6%)が他を圧倒して多く、「これが海外旅行の4大目的。これを達成できる地域が強く、2つから3つ持っているとバランスがいい」と森戸氏はいう。

 実際に2012年に出かけた旅行先は、1位が韓国(20.3%)、2位がハワイ(オアフ島)(13.5%)、3位が台湾(12.1%)。韓国は昨年より3ポイント減、中国も2ポイント減と数を落とす中、ハワイやアジア、中近東・アフリカなどの中・長距離が伸びた。森戸氏は、韓国と中国について「下落率は数ポイントであるが、調査対象数が多く、さらに選択肢も多い中では大きな影響とみてよい」と注意を喚起する。今後の行きたい旅行先ランキングでも、韓国は前回から8ポイント下落して18位となっており、しばらくは厳しい状況が続きそうだ。

 森戸氏は、海外旅行市場が為替変動や国際情勢、流行病などの外部要因に振り回されやすく、海外旅行先に対する考え方としても「毎回違うところに行きたい」と考える人が約半数いるという調査結果を披露。その上で、今後のデスティネーションのブランディングについて、「浮遊層に振り回されないブランディングが必要」と提案した。「例えば、影響を受けている韓国や中国は具体的にどういう策を打ったらよいか。答えのひとつはリピーターを育成し、大切にすること」と話す。

 リピーター対策は、少子高齢化で人口が減少する日本市場で、韓国・中国以外の国・地域でも今以上に必要になってくる。森戸氏は、国内旅行が対象の調査であることを断った上で、じゃらんリサーチセンターの「リピーター調査」から、1回目の旅行では旧所・名跡や食事、温泉を楽しむ旅行が多いが、2回目以降は路地裏散策や町のカフェなどライフスタイルに入り込む旅が増えるとの結果を紹介。「住民の力、その土地のアイデンティティ、ライフスタイルが観光資源となっていることがわかっている」とし、「観光は、国の力をあげていかないと強くならない。住民の生活様式、文化を前に出していくことが必要で、そういう街がリピートされていく」と語った。



9月以降の旅行、長めの旅程に人気集まる

 エイビーロード海外旅行セミナー2013では、企画営業グループ海外チームが9月出発以降の人気都市と傾向を発表。これによると、今年は長めの日程の旅行に人気が集まる傾向があるという。

 例えば東京発のベスト3を見ると、1位のオアフ島は平均日数が6.5日となっており、2位のグアムは4日間のツアーが47.5%、5日間が32%で、通常よりも7ポイント増加しているという。また、バルセロナは周遊旅行が通常85%のところ、9月以降は92%に増加している。

 こうした傾向について、企画営業グループ海外チームでは今年のゴールデンウィークの日並びが悪かった一方で、年末年始が9連休になれる日程の良さがあると説明。9月以降の商品を造成する際は、長期間の旅行の人気が高まっていることを押さえた上で企画することを勧めている。