travelvision complimentary

トップインタビュー:NOE代表取締役社長の影山克明氏

社員に「健全な危機感」を
業務渡航とレジャー融合で成長めざす

-「挑戦と改革」のポイントがいくつかあるのですね。ほかにはどのようなものがあるのでしょうか

影山 先ほど述べた通り、NOEは業務渡航部門が強くレジャー部門が弱い。3年後の税引前利益黒字化をめざし、双方の連携を強めることで新しいモデルを作りたい。

 銀行員時代、私もNOEの客だったわけだが、ビジネストリップの手配をする人々がレジャー商品を私に勧めてくれたことはただの一度もなかった。私はNOEがレジャーを扱っていることを、この会社に入るまで知らなかった。

 業務渡航部門では、顧客について誕生日や社会的地位、家族構成から渡航履歴まで何もかも知っている。その情報を基に顧客がどのような旅を欲しているのかを知ることができるし、またこれまで行ったことがない意外な旅先を提案することもできる。そうしてくれていれば私もレジャーの旅行をNOEに頼んでいただろう。

 例えていえば、長年仕事用のオーダースーツを買っていただいている優良顧客に、カジュアルジャケットやシャツもご提案する。お客様のサイズはもとより、好みの色や社会的地位、家族構成のデータも揃っている。お客様が気づいていないお似合いの色のシャツ、派手目のジャケットをお勧めすることもできるだろう。

 レジャー専業の旅行会社はカジュアルのみを扱っているようなもの。この方法は当社ならではのビジネススタイルとなるだろうし、また価格競争に巻き込まれずに済むはずだ。


-御社でも価格訴求型の商品がありますが、そういったものは今後少なくなっていくのでしょうか

影山 それはそれでこの先もやっていく。そこに需要がある以上、対応する商品は必要だ。ホールセラーとしては売れるかどうかわからないものだけに注力することはできない。

 ただ、それだけではない、NOEらしい、NOEブランドの商品を提供できるようにしておくことで、ひょっとしたら興味を示してもらえるかもしれない。そこで少しでも現在の価格重視の市場で何かが変わればいいと思っている。他人がやらないことをやらなければ。それが改革の第一歩だ。


-旅行会社の存在意義、旅行会社が提供する価値についてはどのようにお考えですか

影山 大いにあると思っている。オンライン流通あるいはBTMシステムを活用した効率的な営業スタイルなどにより顧客との人間関係は希薄になってきているが、顧客の想像の上をいくサービスができるのが旅行会社だ。

 業務渡航部門でそれを実践した良い例がある。先日、ある企業の重役が出張に出た際、帰国便の出発日が彼の誕生日であったため、航空会社と連携して機長をはじめすべてのクルーからバースデーメッセージと小さなケーキをプレゼントするよう手配した。重役は自分の誕生日を忘れられていたが、大変感激されたとご連絡をいただいた。

 また、ヘビースモーカーのお客様に、目的地の空港に到着してから一番早く行ける喫煙所を案内して喜んでいただいたこともある。こういったサービスこそ、顧客のことをよく知り、あるいは航空会社と密接な関係にある旅行会社だからできるものではないだろうか。

 NOEならではの価値を追求し付加することは十分可能だ。それは価格で勝負するだけでは到底得られない、大きな価値と考えている。


-ありがとうございました