現地レポート:エアーズロックとケアンズのMICE-人気の観光地を活用

  • 2013年5月14日

世界遺産の誘客力と知名度いかし
MICEのプラスアルファを引き出す企画を

刻々と色を変えるサンセット時のエアーズロック。パブリックビューイングエリアにもシャンパンや軽食の提供も可能 エアーズロックとケアンズは、言わずと知れたオーストラリアのメジャー・デスティネーションだ。世界最大級の一枚岩と奇岩群のウルル-カタジュタ国立公園、そして世界最古の熱帯雨林と世界最大の珊瑚礁のグレートバリアリーフという世界遺産の誘客力と知名度は、MICEでも大きなポイントとなる。オーストラリア政府観光局(TA)は3月中旬、旅行会社の団体旅行担当者を対象にFAMツアーを実施。両都市の観光の魅力を体験しながら、そこで活用できるMICEプロダクトを確認する研修旅行となった。


大自然の懐に飛び込むMICE
エアーズロック、素材の活用がポイントに

36個の奇岩で構成されるカタ・ジュタ。左から2番目にある一番高い岩がマウントオルガ

 エアーズロック(ウルル)は高さ346メートル、周囲9.4キロもある世界最大級の一枚岩だ。これと、高さ546メートルのマウントオルガを含むオルガ岩群(カタ・ジュタ)が最大の見どころで、ウルル-カタ・ジュタ国立公園として世界複合遺産に登録されている。ポスターやパンフレットでお馴染の姿だが、実際に対峙するとその存在感に多くの人が歓声をあげる。

キャメルライドも人気の高いアクティビティ。エアーズロックを遠目に、サウンド・オブ・サイレンスの会場へ向かう

 この絶景をMICEに活かせることが、エアーズロックのポイントだ。ハイライトのサンセット鑑賞はパブリックビューイングエリアのほか、特別会場でのサンセット観賞とビュッフェディナー、星空観賞が付く「サウンド・オブ・サイレンス」、料理が4コースディナーとなる「タリウィル」と予算に応じて使い分けができ、特別会場は貸切が可能。

サウンド・オブ・サイレンスのディナー会場。夜の帳が下りたころ、ディナーが開始。灯りはテーブルの上のランプだけ。食後は満天の星空が現れ、南十字星も見ることができた

 今回は昨年12月に開始したプログラム、キャメルライドとサウンド・オブ・サイレンスを体験した。砂漠をラクダで歩く風情を楽しみ、シャンパンを片手に夕映えのエアーズロックを鑑賞。その余韻のまま屋外でのディナーは、まさにエアーズロックならではの経験だ。エアーズロック・リゾートを運営するボヤージズのアジアセールスマネージャー、ジェーン・クリステンセン氏によると、貸切なら自由度が高く、某自動車会社のインセンティブツアーでは会場にその企業の車を運び入れ、好評だったという。

エアーズロックはアボリジニの生活の場だった。ブッシュウォークで彼らの生活の痕跡を見てその伝説に耳を傾ければ、ぐっと印象が深まる

 会議やイベント前後の観光にはウルルとカタ・ジュタでのブッシュウォークのほか、アボリジニアートに挑戦する「ドットペインティング体験」もあり、これはチームビルディングに使えると好評だった。実際のインセンティブツアーでも、オーガナイザーの企業理念をドットペインティングで表す企画が行なわれたという。

アボリジニの夫婦に彼らの絵のマークの意味を学び、それを用いて自分のストーリを描く。意外にも熱中してあっという間に時間が終了

 現地ツアーを扱うAATキングスのセールスマネージャーの近藤貴博氏は「パッケージツアーではサンライズとサンセット観賞、ブッシュウォークの1泊2日が主流だが、会議やイベントが入るMICEは2泊がおすすめ。ウルルとカタ・ジュタの2つをどう見せるかがカギになる」と話す。ある参加者が「世界遺産や自然だけではなく、現地で聞いたエピソードを盛り込んだ企画を作りたい」と感想を話してくれたが、こういう視点もポイントになりそうだ。

 なお、エアーズロックは世界遺産地域に隣接して空港とリゾートがあるため、空港/リゾート間は車で約10分、リゾート/エアーズロック間は約30分。日本からは乗継が必要だが、自然の造形美が売りのデスティネーションでこれだけのアクセスの良さは珍しく、参加者のモチベーションが異なるMICEには好条件になるだろう。