全旅連が地熱発電の報告書を作成 開発に5項目の提案

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連、佐藤信幸会長=日本の宿古窯)はこのほど、「地熱発電と温泉地との共生に関する調査報告書-地熱発電の現状と考察」を作成した。

 同書では新潟県・松之山温泉バイナリー地熱発電所、福島県・柳津西山地熱発電所、鹿児島県・大霧地熱発電所などの現地視察やヒアリング、専門家の協力を得て、地熱発電の現状を整理した内容になっている。

 佐藤会長は「温泉への影響を問題視するとしても、科学的な関係を理解することなく、ただ、反対の声を上げているものではありません。電気を求めて前のめりにならないよう、開発に当たっては拙速を避け、慎重なる判断を求めたものであり、適切な開発に当たっては温泉と地熱発電とが共生できることを目的とした5項目の提案を要望している」ことを強調。

 この5項目とは(1)地元(行政や温泉事業者など)の合意を絶対条件とする(2)客観性が担保された情報開示と第三者機関の創設(3)過剰摂取(補助弁)防止の規制(4)長期にわたる環境モニタリングの徹底(5)被害を受けた温泉の回複作業の明文化などだ。

 この5項目の内容を通して地熱発電と温泉資源の関係について関係者間の理解の共有を図り、さらに国の積極的な関与を望んでいる。

 また佐藤会長は「私たちは太古の昔から引き継いだ『温泉』というすばらしい遺産をしっかりと守り、将来の世代に引き継いでいく使命があります。それには電力確保と温泉資源の二つの公益が共存することが前提」とし「本報告書を通して、科学的な議論の展開に向けた『知識』と『意識』の醸成が図られ、『秩序ある開発』が形成されることを強く望む」と要望。最後に、本書が地熱開発候補地周辺の温泉地で、検討材料として使われることを望むと結んでいる。


情報提供:トラベルニュース社