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多様性の活用でグローバル時代を勝ち抜く-JATA経営フォーラム

▽多様性を阻むオールド・ボーイ・ネットワーク

スプリー代表 安藤美冬氏

 多様化が経営に好影響を与えることはもはや周知の事実となっている。こうした中、なぜ取組みは進まないのか。

 佐々木氏は「ダイバーシティを推進しているつもりでも実はできていない企業が多い」と指摘する。問題としてまず挙げたのは旧態依然とした男性中心社会の文化「オールド・ボーイ・ネットワーク」だ。「会社のさまざまなことが暗黙のルールで決まり、そこにマイノリティの入る余地がない。仕事のノウハウやルール、基準、情報が手に入らない状況に嫌気がさして辞める女性が少なくない。外国人も同様で、どういった基準で評価され、どうすればどの役職に就けるのかが不透明な日本企業での将来に不安を感じ、職場を辞めてしまう」と佐々木氏。

 ダイバーシティの失敗例については「会社員時代、女性として初めて部長に抜擢された元編集長が、男性社会で弾かれてストレスを受けていた」(安藤氏)、「異分子が一人だと、『その人の失敗=その人の属するグループの失敗』とされて排除される例が多い」(佐々木氏)、「優秀な日本人を取締役にして外国人の部下を多く配したところ、日本のレベルを求めるクライアントと、個々の主張をする外国人社員との板挟みとなって辞めてしまった例がある」(高岡氏)など、さまざまな例が挙った。

 佐々木氏は「実際に女性や外国人を採用したり起用したりしても、日本人とまったく同じ研修を受けさせるなど、同じ枠にはめるのでは意味がない。その人そのままを受け入れ、意見を聞き、多様な考え方を受け止めることが大事」と語り、ダイバーシティ・マネジメントには手法が問われることを示した。