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現地レポート、イタリアに新高速列車登場-欧州を鉄道で巡る魅力

  • 2012年12月20日

イタリア高速列車「.italo」の登場で
さらに快適になる鉄道の旅と各地の新素材

魅力溢れる街で途中下車
1泊オプションで旅の可能性を提案

モンペリエ駅の前には何種類ものカラフルなトラムが走っている

 バルセロナからローマへ向かう途中、モンペリエ、リヨン、トリノに1泊した。人気の「バルセロナ、パリ」に、「1泊オプションをつけるとしたら?」という問いには、FAMツアーに参加した全員がモンペリエと答えた。


本物の窓は2つだけ。こんなトリッキーな壁画があるのもモンペリエならでは

 モンペリエは中世からの学園都市で、街全体に文化の香りが溢れている。「今は女性を惹きつけるともれなく男性が付いてくるという時代。こじんまりした街をモダンで可愛い路面電車が走り、雑貨やファッション、アンティークショップなど女性が喜ぶ店が多い」「学生が多い街は旅行者にとっても心地のいい街。ローカルレストランも多く、街にいること自体が楽しめる」と参加者たち。ユーモラスなオブジェ、だまし絵のような壁、路地に並ぶセンスの良い店…。歩くごとにみんなの足が止まってしまう。まさに「町歩き」という言葉がピッタリの女性好みの街だ。

 「夕食はお花を食べるのよ」と言われ、「タマリロス」へ案内された。食用花をあしらった料理と、日本で修行経験のあるシェフの温かいもてなしに楽しい時間を過ごした。モンペリエでは郊外にあるワイナリーでのテイスティング、各種クラフト制作も体験できる。街歩きと組みあわせて提案したい。

フルヴィエールの丘から望むリヨンの街並み。晴れた日には遠くモンブランの山並みも見える

 翌日はフランス第2の都市リヨンを散策。登山電車で登ったフルヴィエールの丘から望む世界遺産の街並みが絵のように美しい。帰りは2000年前の円形劇場の遺跡の中を歩いて下った。「美食の町」といわれるだけに、街中には伝統料理のレストランが軒を連ねている。古い建物をつなぐトラブールという抜け道が120本もあり、秘密めいた小道を歩くのも旅の一興だ。毎年12月8日には「ロウソク祭り」が行なわれ、リヨン中の窓にロウソクが灯って街が光り輝き、多くの観光客でにぎわうという。

歴史を感じるトリノのアーケード。街は半日で歩いて回れる大きさだ

 最後にトリノだが、パレスや教会、オペラハウスなどたくさんの観光名所があるなか、やはりここも女性を意識して今回は「板チョコ発祥の地」と紹介したい。トリノ名物「ビチェリン」は、コーヒーとチョコ、ミルクが3層になったホットドリンク。「混ぜて飲むかそれぞれの味を楽しむか、それはあなた次第」。カフェのマスターがそういって微笑んだ。



トリノ名物ビチェリン。チョコレートの街だけあってお洒落なカフェが多い

 今回の旅は主に高速鉄道を使って移動した。バルセロナから国境の町フィギュアスまでは唯一普通列車に乗ったが、この区間も来春にはTGVが運行を予定。バルセロナ/パリを5時間で結ぶ。ローマ・ティブルティーナ駅は大改装が終了し、近い将来高速列車はすべてこの駅からの発着となる。ユーロスターイタリアは.italoの参入を受け、それまで1つだったカテゴリーを4つに増やし、早割り料金も導入した。ヨーロッパ鉄道の旅は、時間の短縮、料金面の選択、サービスの向上が次々と実現し、ますます便利で快適になっていく。今後の新たな動きに注目したい。

取材協力:レイルヨーロッパ、トルコ航空(TK)
取材:戸谷美津子