観光庁、国際会議促進の具体策を検討-MICE国際強化委員会を開催

  • 2012年11月29日

 観光庁は11月28日、第1回MICE国際競争力強化委員会を開催した。これはMICE誘致の国際競争が盛んになるなか、日本のMICE競争力を強化し、誘致活動を促進するための具体的な方策を策定するためのもの。観光庁長官の井手憲文氏は冒頭の挨拶で、「(MICEで)できていないがやらなければならないものを具体的に実施するための方法論を議論し、実施に移せるようにできれば」と主旨を説明した。

 観光庁によると、アジア・太平洋主要国の国際会議開催件数に対する日本のシェアは、1991年は61.0%だったが、中国や韓国、シンガポールなどがシェアを拡大するなか日本は徐々に縮小し、2011年は21.0%まで落ち込んだ。井手氏は、20年間をカタツムリの歩みだったと振り返り、「今回の委員会が最後の機会。MICEらしい(素早い)スピードで動くきっかけにしていきたい」と意気込みを述べた。

 第1回目の今回は、観光庁参事官でMICE推進担当の高見牧人氏がMICEの意義や市場動向、課題を説明。課題として、MICEに関するマーケットリサーチなどのマーケティング戦略の策定・実施、人材確保やMICE関係者間の連携などのMICE推進体制の構築、MICEの受入環境に関する課題、の3点をあげた。さらに、今後はまずMICEのなかでも「C」にあたる国際会議の誘致に焦点を絞り、課題解決のための具体的なプラン策定をめざし、ソフト面の改善を中心に検討を進めていく方針を示した。

 また、会合では、MICEの課題に関する意見交換も実施した。日本PCO協会代表理事の近浪氏は、MICE推進のためには10年規模の中長期的なビジョンが必要とし、長期的視点で人材育成すべきとの意見を述べた。また、JTB法人東京代表取締役社長の川村益之氏も短期間でMICE担当者が変わる現状を改善するとともに、MICE窓口を一本化するべきと説いた。

 国際観光振興機構(JNTO)理事長の松山良一氏からは、観光庁に対し、MICE促進の旗振り役として、MICEが高い経済効果を持つなどのメリットを啓蒙する活動の実施、諸外国の先行事例の情報収集とMICE業界に対する提供、都市間の競争力向上のためのインフラ整備を求める意見が出された。その他、委員からは国際会議を誘致する研究者、産業関係者などのサポートを実施し、積極的に誘致するよう促して欲しいとの意見や、MICE関係者同士の連携を強化すべきとの意見が上がった。施設面では、先行投資として大型施設を作り、大型国際会議を誘致すべきとの意見や、会議場、展示場、宿泊施設などが一体となった施設が必要との意見が出された。

 今後は強化委員会の下に10数人規模の小委員会を設置し、マーケティング戦略の高度化のための具体論を中心に議論を進めていく。小委員会は第1回は12月下旬、第2回は年明けに開催する予定。小委員会の検討結果を受け、強化委員会の第2回会合を開き、中間的な論点や方向性を取りまとめる。その後、各会合を継続し、春には最終的な提言を発表する予定だ。