新関空会社、14年度の発着回数30万回へ-まずは着陸料引下げ

  • 2012年7月16日

新関空会社常務取締役の室谷正裕氏  新関西国際空港株式会社(新関空会社)は7月13日、7月1日から統合運営を開始した関西国際空港(関空)と大阪国際空港(伊丹)について、3年間の経営方針を示す経営戦略を発表した。2014年度の目標として、2空港合計で発着回数を2011年度比30%増の30万回、旅客数を23%増の3300万人に設定。売上は26%増の1500億円をめざす。

 2空港の統合により、11年度で発着回数は23.1万回、旅客数は2677万人に増加。同社常務取締役の室谷正裕氏は、13日に開催した記者会見で「仁川には及ばないが、仁川の背中は十分見えている」と述べ、両空港のシナジー効果で競争力が高まると期待を示した。

 経営戦略では、アジアの航空市場の拡大、オープンスカイの進展やLCCの台頭などの航空業界の変化、空港間競争の激化などの状況のもと「空港のビジネスモデルを変えていかなければいけない」考えから、基本コンセプトとして「空を変える。日本が変わる」をかかげる。コンセプトのもと、補給金に頼らない自立した経営を実現し、成長戦略や経営効率化による事業価値の最大化をはかることで、早期に完全民営化をめざす考えだ。

 経営戦略では、航空成長戦略、ターミナル成長戦略、経営効率化戦略の3つを設定。航空成長戦略では、両空港の特性を踏まえ、ネットワークのさらなる拡大をはかる。具体的には、関空の国際線着陸料を11年ぶりに引き下げる。関空の着陸料は成田と比べて10%以上高いが、この3年間で成田並みまで下げたい考え。まずは今年度の冬期スケジュールから5%引き下げる。

 また、航空会社の拠点化推進や増便の促進をはかり、来年度から航空会社のニーズに合わせた新たな料金体系を導入する計画だ。深夜、早朝便での着陸料の割引なども検討していくという。伊丹空港でも低騒音機材導入の促進をはかるため、新料金体系を検討しており、できるだけ早期に導入するとした。

 さらに、両空港の一体運用のためのアクセス改善にも取り組む。7月20日から関空/伊丹間のリムジンバスを無料化するほか、リムジンバスでのアクセス地点を拡大し、利便性向上をはかる。鉄道や高速道路などとアクセス時間短縮に向けた連携も実施していく考えだ。また、2空港間の内際乗り継ぎ機能の強化にも取り組む。

 室谷氏は、関空/中国のアクセスの良さから、中国人のインバウンド向けに関空国際線から伊丹国内線への乗り継ぎを利用した旅行商品の開発を働きかけていく考えを示した。そのほか、関空路線とのバランスを考慮した上、伊丹からの長距離路線の開設を検討するなど、ネットワークの見直しもおこなっていく。


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