インタビュー:英国政観ディレクター キース・ビーチャム氏

-2011年の結果と今後の目標は

ビーチャム 2011年は23万人から24万人になる見込みで、2010年比で約6%増だ。日本の出国者数が約2%増であったことから考えれば、非常に喜ばしい。英国への外国人旅行者の合計は約3%増で、これも上回っている。これは、おそらくこの10年間で初めてのことだろう。我々としては、今後も日本市場の伸び率が全世界の平均を上回ると期待している。

 目標については、VBとして今後3年半で、全世界から460万人の旅行者と23億英ポンドの観光消費の新規創出をめざしている。現時点では日本に具体的な目標は定めていないが、最低でも全世界からの平均伸び率には達したい。


-東日本大震災があったにもかかわらずプラス成長が実現しました

ビーチャム まず、これは日本だけでなく全世界的な話だが、オリンピックもあって英国のメディア露出が増え、目に触れる機会が増えたことが一因だと考えている。また、もちろん円高は効いている。そしてこれらに加えて、この10年間で起きてきた英国内での変化も影響しているのではないかと思う。

 例えば英国での食事は、私が日本に駐在していた10年ほど前と比較して、誇張でも何でもなく確実に美味しくなっている。もちろんゴールに到達したわけではなく、まだ長い道のりがあるとはいえ、現在も改善が続いている。旅行会社との意見交換の際にも、ツアー参加者のアンケートで英国の食事に大変満足しているという回答が多いと聞いた。

 また、ロンドン・アイやテート・モダンなど文化的なアトラクションが増え続けていることも変化であり、鉄道などインフラ面も改善してきている。このように極めて多くの商品開発、商品改善がなされてきたことが需要を引き上げていると思う。


-欧州危機の影響についてはどのようにお考えでしょうか

ビーチャム 欧州経済の行方はわからないが、欧州内についていえば、厳しい環境下にあっても人々は旅行し続けており、英国も依然として欧州各国から相当数の旅行者を迎えている。欧州の人々にとって旅行は人生の一部だ。そのため、例え旅行期間を短くしたり出費を抑えたりしたとしても、旅行をやめることはしない。

 また、欧州内では、LCCの優れたネットワークが構築されているため、非常に安価に旅行することが可能だ。英国からフランスやイタリア、ドイツにたった20英ポンド、2000円程度で移動できるわけだ。航空運賃が安価であるため、人々は旅行を“した方が良い”ように感じる。LCCの需要喚起効果は大きい。

 日本でも今年は日系LCCの参入が相次ぐが、おそらく市場全体に良い刺激になるだろう。LCCの登場によって日本人がこれまで以上に近距離アジアを旅行するようになるとすれば、それは欧州にとっても良いことだ。どの国でも良いから旅行をしてもらうことが、海外旅行市場を刺激する。