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SNS時代の消費行動、ネットと旅行に接点あり-JATA経営フォーラム

  • 2012年3月8日

ネット時代でも人と人とのつながり重視

モデレーターを務めたVisit Finland日本代表の能登重好氏 「SNSの時代でも人の顔が見えるサービスが求められているのか。そういう時代に実店舗に求められることは何か」という能登氏の問いかけに、「人と人が同じ空間、時間にいるときに感じる『何か』が重要なのではないか。それはある種の情報になり得る」と藤田氏。例えば旅行への思いや情熱、本音などだ。こうしたことを、カウンターに来た顧客と共有できればいい」という。

 藤原氏は「酒に対する興味を失った若い人は、飲みたくても酒の飲み方を知らない。そこで年上の経験者から教わりたいと考えている」と例を出し、旅行も同じと語る。「若い人は旅行をしていないから、教えてほしいと思っている。その旅行を教えるのが旅行会社の役割」とし、「『この旅行会社の人は自分のことを考えて、教えてくれている』と思ってもらえるのはリアルな店舗のみ。知識も大切だが、それ以上にパッションも必要だ」と、旅行会社が求められている役割と素質を語った。

 最後にSNSと旅行業界との親和性についての話が出た。小林氏は、「もっとも近い業界ではないか。具体的にどこかへ行きたいと思う前から、顧客を自社に引き込むことができるのだから」と述べ、顧客にとって良い情報を提供する顧客支援(アドボカシー)を重視し、その場では多少の損をしても信頼関係を築くことで長い得を取ることが、SNSを利用したマーケティングの一番の基本だと再度訴えた。

 また藤田氏は、「良い旅行がしたいという欲求は強く、例えば旅行では最高の経験を求めてネットで徹底的に調べることが多いはず。ここにネットと旅行の接点があり、SNSが有効に寄与する」と関連性を述べた。藤原氏は「旅行のテーマが多様化し、顧客が自分に合った行き先を探している場合でも、今のようなSNSの時代では知り合いが教えてくれることを信頼する。ここに旅行とSNSとの親和性の高さがうかがえる」と語った。

 これを受け、能登氏は「顧客が旅行会社のスタッフを信頼できるようになると、ますますSNSとの親和性も高まるのではないか」との感想を述べ、旅行業界はようやくSNSをマーケティングに利用する入り口に立ったところで、その可能性は無限にあるとまとめた。




取材:竹井智