読者レポート、ブータンの魅力とヘルスツーリズムの可能性

  • 2012年2月17日

パロ国際空港近くに位置する、断崖絶壁に建つ寺院群「ゾンダカ・ゴンパ」  筆者は昨年7月末にAPSWC(Asia Pacific Spa Wellness Coalition)のメンバー達と共にブータンに訪れ、ブータンのツーリズムに関わる閣僚、高官、TCB(Tourism Council of Bhutan)や航空会社、旅行会社などの方々とミーティングを持った。テーマは、ブータンのヘルスツーリズムの立ち上げである。今回はその訪問時に触れたブータンの魅力とともに、ブータンのツーリズムの方向性と今後めざすヘルスツーリズムの取り組みをまとめた。


筆者:土橋告(サンヨーインターナショナル代表取締役)


注目のブータン
日本人にあったデスティネーション

首都ティンプー。「天国への階段」のような団地で、平坦な土地が無い  ブータンは特に日本にとって、とにかく素晴らしい国だ。かつて日本人起源説も唱えられたこともある程に、古い日本によく似ている。年配者にとっては心が熱くなるような郷愁感を覚える。ブータンの人々にとっても一番贔屓の国が日本である。

 ティンプーのレストランで日の丸を模ったミネラルウォーターのラベルに「Bhutan for Japan」の文字を見つけ、「これは何?」とブータン人に聞いたところ、「私達はこれまで日本に助けられてきました。震災で被害を受けた日本を今度は私達が助ける番という思いの表れです。皆で募金をして日本に送金しました」と誇らしげに言い、筆者は涙を落としそうになった。人口68万人、GNI(国民総所得)が2000米ドルほどの小国が、日本の震災に献金したのは100万米ドル。彼らにとっては外貨準備金の13%(2009年)を超えるほどの多額の金額である。

ラベルはまさにブータンと日本の「絆の証」  日本人旅行者数は米国に次いで第2位となっている。また、羽田空港の国際線化に合わせ、国営のドゥルクエアー(KB)がフライトスケジュールを、羽田からバンコク経由で乗継できる時間帯に変えている。完全に日本マーケットをターゲットにしたフライトスケジュールである。お陰で日本からの旅行者は順調で、日本人旅行者数は2010年が2963人、2011年は前年比33%増の3943人。2012年は7000人まで引き上げようと意欲的だ。まだ絶対数は少ないのは「秘境」というイメージが強いからだろう。

 ブータンは国民総幸福度(GNH:Gross National Happiness)世界一で注目を集め、この数年間で受け入れ態勢も急速に整い、主要観光地は秘境のデスティネーションではなくなっている。それでも縁遠いイメージがあるのは、ブータンのツーリズム政策が日本の旅行業界が慣れ親しんでいるマスの世界からかけ離れているからだろう。しかし、日本人客旅行者は増えてきているし、国王夫妻の日本訪問でブータンフィーバーが起きた。今後がさらに楽しみなデスティネーションである。