海外・国内旅行、震災前水準に回復-海外は円高追い風に好調、JATA調査

  • 2011年12月14日

 日本旅行業協会(JATA)が2011年11月1日から16日まで実施した旅行市場動向調査によると、現況(2011年10月~12月)の海外旅行のDI値(※)は、3ヶ月前と比べて9ポイント上昇し、マイナス11となった。前回調査でマイナス19だった見通しと比べても8ポイント増加している。これは、円高の追い風の中で、燃油サーチャージの影響を受けにくい近場の韓国や中国を中心に、アジア方面が大きく伸びたためと分析。また、1年前の2010年の調査と比べると同水準もしくは前年を超える数値となっており、JATAでは震災前の水準に回復したと見ている。

 方面別では、現況は韓国が14ポイント増、中国が13ポイント増と大幅に上昇したほか、アジア、オセアニア、アメリカ、カナダでも上昇した。一方、ヨーロッパは4ポイント減、ハワイは1ポイント減となった。3ヶ月後は、シーズンを迎えるオセアニアが11ポイント上昇。ミクロネシアは1ポイント増、その他の地域もほぼ横ばいとなる見込みだ。

 顧客層別では業務渡航やインセンティブといった法人需要が回復基調となった。インセンティブが18ポイント増、商用・視察が11ポイント増と大幅に上昇し、一方で、前回調査で急激に回復した学生は8ポイント減、ファミリーは6ポイント減、OLは5ポイント減少した。3ヶ月後(2012年1月~3月)は、卒業旅行シーズンの学生の伸びが19ポイント増と見込まれるものの、商用・視察は7ポイント減少、そのほかもほぼ横ばいの見通しだ。

 国内旅行のDI値は、23ポイント増と大幅に上昇し、マイナス14にまで回復。これは、横浜や浦安を含む、東京と関東がディズニー商品の回復とともに伸びたため。また、震災後とりやめていた職場旅行、招待旅行の実施など、団体旅行の受注が戻りつつあるという。このほか、開通した九州新幹線を利用した旅行や、復興支援の旅行需要により東北地方も回復の兆しが見えてきたという。方面別では、東京が27ポイント増、関東が18ポイント増、静岡が15ポイント増と関東圏が大きく上昇している。また、京阪神は15ポイント増、九州は5ポイント増と、DI値がプラス転換した。3ヶ月後も引き続き東京、関東がさらに上昇する見込みだ。

※DI値は設問事項に対し、「良い」、「普通」、「悪い」、「取扱なし」の4回答を用意、この回答からシェアを算出するもの。「全て良い」場合にはプラス100となる。JATA調査では、JATA会員会社の経営者などに対してインターネットでアンケートを実施し、業態、顧客層、方面別に業況判断をDI値を導出している。