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インタビュー:英国政府観光庁ディレクター パトリシア・イエーツ氏

  • 2011年9月14日

オリンピックで旅行先としての認知向上を期待
本当の効果は開催後-旅行業界との協力不可欠

-オリンピックに合わせてどのようなプロモーションを展開していますか

近衛騎兵隊博物館裏のホース・ガーズ・パレードはビーチバレーの会場に イエーツ イギリス政府は全世界を対象に、4年間にわたるマーケティングキャンペーンを策定しました、すでに、イギリス出身の著名人が世界中の皆様をイギリスに招待する気持ちを表したメッセージを発信することから始めており、日本でもBBCワールドやBBCウェブサイトでも見ることができます。9月には観光業界と連携したプロモーションを、年末にはイギリス国民からの歓迎メッセージをお届けします。

 我々がめざすのは、イギリスは訪れる価値があるデスティネーションであるということを訴えることです。イギリスは基本的に成熟したデスティネーションですから、「イギリスのことは知ってる。行ったこともあるので、なぜもう一度行かなければならないのか?」と思われる方には、新しいイギリスをお伝えする必要があります。

 その意味では、例えばオリンピックのサッカーの会場にはウェールズやスコットランド、マンチェスターなどが決定しており、新しい魅力を紹介するチャンスはたくさんあります。イギリス中をまわる聖火リレーもその絶好の機会といえるでしょう。もちろん、マラソンのスタートとゴールがバッキンガム宮殿正面の道「ザ・マル」であったり、テニスはもちろんウィンブルドンが会場になるなど、普遍的な魅力も伝えることができます。

 今回のキャンペーンにより、訪英旅行者400万人と旅行中の消費20億ポンドの増加をめざしているところです。また、イギリス中で雇用の拡大も期待されています。


-暴動の与える影響はどのように捉えていますか

暴動発生直後でも観光客で賑わうウェストミンスター寺院 イエーツ 影響がないとは言えません。世界中の人々が暴動の写真や映像を見て、その光景がロンドン中で起きていると思われてしまいました。普通であれば、観光では行かないような場所で起きていたにもかかわらず、です。暴動が報じられた期間も、ロンドン中心部はまったく何の影響も受けていませんでした。

 とはいえ、旅行需要は底堅いことには変わりありません。実際のところ、暴動が発生した後も訪英旅行者数が大きく減ったような事実はないですし、旅行業界からのヒアリングでは、キャンセルは極少数で、ビジネスは通常通りとのことでした。暴動がピークシーズンに起きたため、多くの旅行者の方がすでにロンドンにいて、実際に中心部では何の問題も起きていないと感じていただけたことも理由かもしれません。

 英国政府観光庁としては、ごく短期的にはBBCウェブサイトで暴動のニュースと一緒にオリンピックキャンペーンのバナーが掲載されないようにするなど、若干の対応はしましたが、マーケティングキャンペーンの計画は予定通り進めていきます。