中国個人観光ビザ、9月から要件緩和-職業地位の条件撤廃、滞在期間30日に

  • 2011年8月11日
外務大臣政務官の山花郁夫氏

 外務省は9月1日から、中国人の個人観光ビザ申請について、発給条件をさらに緩和すると発表した。同省は2010年7月1日から1年の施行期間を設けてビザの発給条件を緩和し、施行期間後も継続していた。今回は現行の発給要件である「一定の職業上の地位及び経済力を有する者」から「一定上の職業上の地位」を撤廃し、「一定の経済力を有するもの」に拡大。また、滞在期間をこれまでの15日から30日に延長した。

 8月10日に開催された記者会見で、外務大臣政務官の山花郁夫氏は、規制緩和により「中国人の個人観光客がさらに増加し、日中間の人的交流が一層拡大することを期待したい」と述べ、東日本大震災以降落ち込む訪日中国人観光客の増加に期待を示した。

 外務省によると、今回の規制緩和は2010年7月からの施行期間の運用状況を踏まえてのもの。中国人観光個人ビザの発給を開始した2009年7月1日から2010年6月30日までの発給数は2万3858件だったが、規制緩和後の2010年7月1日から2011年6月30日は6万2072件と2.6倍以上の増加となっていた。

 また、失踪者は、2009年7月からの1年は1名だったが、2010年7月からの1年では11名にのぼった。しかし、11名の失踪理由は経済的理由からであったことから、山花氏は「職業上の地位の要件を撤廃するが、経済要件でより厳格な審査をおこない、問題事案の発生を抑止していきたい」考えを示した。具体的な審査基準については偽装などを避けるため公表は控えるとしたが、「年収だけではなく、申請人の経済力を総合的に判断していく」という。

 また、旅行会社からは、退職したため職業上の地位はないが、経済的には問題ない客層についてもビザ発給の対象にしてほしいという意見や、日本国内の数都市を回る場合は15日では短いため、滞在期間を延長してほしいという意見もあがっていたといい、こうした要望も踏まえて規制緩和を実施したという。

 新たな要件での個人観光ビザ申請は、中国本土に7ヶ所ある全在外公館で、9月1日から受付を開始。実際に発給されるのは9月3日から5日ごろからとなる予定だ。