サービス連合、春闘は震災で一時金交渉難航-組織拡大、12年度2500名目標に

 サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合)によると、2011年の春闘は、東日本大震災の発生にともない、交渉の一部中断や要求自体の凍結を余儀なくされた加盟組合が続出した。多くの加盟団体では定期昇給の賃金カーブ維持分の確保はできたが、一時金については年間協定の締結は少数に留まり、夏期のみでの決着が多数を占める結果となった。

 観光・航空貨物業では、賃金改善要求について、6月21日現在集計できた合意16組合の加重平均は5609円(1.70%)、単純平均は6513円(2.00%)となった。サービス連合によると、震災の影響で春闘後に労働条件を一時的に切り下げられた組合もあったが、定期昇給分の確保については一定の成果を得たとの考え。夏期一時金は、単純平均で49組合で1.143ヶ月となり、昨年の33組合、1.29ヶ月を下回った。

 ホテル・レジャー業では、6月21日現在、集計可能な定期昇給を含む賃上げ額は、単純平均で16組合で4012円(前年:16組合、3291円)となった。また、一時金は、単純平均で9組合で年間1.61ヶ月(15組合、2.597ヶ月)、夏期のみは35組合で0.88ヶ月(36組合、1.065ヶ月)にとどまった。

 要求書は観光・航空貨物業は計51組合が提出。ホテル・レジャー業では53組合が提出し、要求書形式を取らずに労使協議をした8団体を合わせ計61団体が交渉に臨んだ。震災以後に提出予定だった組合のなかには、提出時期の延期や、提出を見送り労使協議に切り替えたところもあった。また、内容を企業の存続、復興を優先するものへ方向転換することで、春闘を実質取り止めたケースもあったという。

 2011年秋闘では、企業業績を見定めるために継続協議となっている加盟組合も多いことから、厳しい状況が予想されるとした。各加盟団体の具体的な方針の早期確立をめざし、未確定の冬期一時金の交渉に注力する方針だ。

▽組織拡大、11年度は2500名めざし、未組織対策を強化

 サービス連合は、10万人組織への拡大をめざし、2011年から2012年度の2年で未組織対策の強化を最重要課題として取り組んでいく方針だ。2年間の目標として、未組織500名、未加盟500名、企業内・関連企業1500名の計2500名を設定。当面の目標である「組織人員5万名の実現」に向けて取り組みを進めていく。

 同連合では結成以来、組織人員10万人をめざして取り組みを進めてきた。2009年から2010年度は組織拡大目標を5000名としたが、実績は企業内758名、関連未組織301名、未組織15名、未加盟333名の計1407名にとどまった。今年が連合結成10周年であることから、10万人組織へのプロセスをあらためて見直し、今後2年で労働組合がない企業に対し、訴求活動を強化していく。

 具体的には、未組織労働者が多いホテルや旅館分野を重点対象とし、代表的な企業や影響力の強い企業を中心に活動対象を明確化。各地連で開催しているイベントや地域交流会などで、対象企業の従業員と意見交換をするなど、アプローチを進めていく。また、各地連と連携のもと「組織拡大総合会議」を開催し、組織拡大運動全体の情報共有や必要な行動計画の企画、立案を実施していく考えだ。