ゴールデンウィークの宿泊者3.2%減-震災支援や景気回復理由の旅行は25%

  • 2011年6月9日
GWの沖縄、首里城。震災により3月は落ち込んだが、GWは回復傾向が見られた。団体客の姿も

 観光庁がとりまとめた2011年ゴールデンウィーク期間の観光旅行の動向によると、4月26日から5月11日までの国内宿泊旅行者数は前年比3.2%減の約2000万人で、実施率は0.7ポイント減の19.5%となった。日帰り旅行者数は19.3%減の約2893万人で、実施率は6.8ポイント減の28.2%。消費額では宿泊旅行が3.1%減の8981億円と旅行者数の減少と比例しているが、日帰り旅行は1.3%減の4396億円で、微減にとどまった。

 東日本震災後、初の大型連休であったが、旅行を実施した人の理由では「旅行の実施に支障を感じなかった」(37%)、「例年の旅行」(18%)と、半数以上は影響を受けていなかったようだ。また、「震災復興・景気回復に貢献」(21%)、「見舞・支援活動」(4%)など、震災支援や景気回復に役立つとの思いで旅行を実施した人が25%いる。ただし、調査対象数全体のうち、旅行を実施しなかった人は約7割で、その51%が「自粛」。そのほかも「震災で旅行実施に支障あり」「原発事故の影響を懸念」「仕事(震災対応)」「自身が被災」を理由にあげており、「震災とは関係ない」としたのは20%だった。


東北、中部発の減少顕著、同一地方内の宿泊旅行が増加

GWの鶴ヶ城の様子。間際に予約し旅行に訪れる観光客の姿も

 東北在住者の旅行人数は、国内宿泊旅行が28.2%減の107人で、実施率は23%。震災前から予定通り実施したのが8%、震災前未定だったが実施したのが12%、変更の上実施した人が3%だ。また、日帰り旅行も38.9%減の192人と大きく減少している。東北地方以外でもおおむね減少しているが、減少が目立つのが中部地方。宿泊旅行は22.6%減の203人、日帰り旅行が23.3%減の351人となっている。

 一方、国内宿泊旅行者が増加した地方もある。北海道では30.0%増の143人、北信越地方では12.1%増の129人、中国地方では9.2%増の130人、四国地方では36.0%増の68人で、北信越地方では日帰り旅行も2.1%増の189人と微かだが、増えている。

 着地別の動向では、同一地方内での宿泊旅行の増加が目立つ。昨年よりも増加した地方は6地方あり、例えば、北海道では41.1%増の127人となったほか、近畿地方は11.4%増の127人、九州地方で11.3%増の167人などとなっている。東北地方については、域内の旅行者数が14.3%減の72人、域外からの旅行者数が3.1%減の96人。域外からの旅行者数が大幅に減少したのは関東地方で、域内からの旅行者数が6.1%減の306人に対し、域外の旅行者数は30.2%減の139人と約60万人の減少となった。


お盆の旅行、「震災復興・景気回復貢献」理由が27%

お盆時期の旅行者の回復に期待

 同調査では、今後の旅行動向も発表しており、お盆時期の旅行の予定者を約4830万人、旅行を予定していない人を約7104万人と推計。旅行を予定している人のうち、「震災復興、景気回復に貢献」を実施理由とする人が約1549万人(27%)とし、「自粛」を理由に旅行をしない予定の約884万人を上回るとしている。

 なお、同調査は5月14日から15日まで、3142人を対象に、インターネットで実施。調査対象期間は4月21日から5月11日だが、記事中で引用した旅行者動向については、4月26日から5月11日が対象期間となっている。