OTOA、会員の実情調査、訪日事業に意欲高く
-取引環境改善も

  • 2011年6月6日

 日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)が2月1日から16日にかけて実施した「OTOA会員の実情に関する調査」で、インバウンドを取り扱う会社が回答のあった117社のうち30社、今後手がけたいと考える会社も27社となった。1月31日時点での会員は139社で、全体の4割超がインバウンドに進出済みか、興味を示していたことになる。

 かねてOTOAでは会員会社が現地出身の外国人を雇用していることから、インバウンド業務を円滑に進めやすく、現地旅行者のニーズも把握できるとし、日本の海外ランドオペレーターにとって事業拡大の可能性と指摘してきていた。今回の調査結果を受けて、OTOAとしても今後勉強会の開催などにより、具体的な仕組みづくりを検討する考え。OTOA会長の大畑貴彦氏は、「エンドユーザー(訪日旅行者)にとって良いサービスを提供することが重要」とした上で、「インバウンド事業では、これまでOTOAが培ったものをうまく活用できると思う」と述べた。

 特に、すでにインバウンドを取り扱っている会員を顧客の出発地別で見ると、北米や中南米、ヨーロッパなど、訪日旅行者の大半を占める中国、台湾、韓国といったアジア以外の国が多い。OTOA専務理事の速水邦勝氏は、「もともとOTOA会員はほとんどが欧米を取り扱う会社であることから、新たな需要を取り込めるのでは」と期待を示した。

 なお、実態調査ではこのほか、経営環境についても質問。このうち、金融機関などから何らかの融資を受けている会員は、回答件数の56.4%にあたる66社であった。OTOAが2007年に実施した同様の調査では57.0%で、ほとんど変化していない。特に、融資を受けたことのある会社のうち、政府の金融支援措置や緊急保障制度などを利用した会社が76%と高く、速水氏によると「想定以上の数字」。このため、金融支援措置や保証制度について関係各所に継続的に働きかけていく方針だ。


▽商習慣、大きな変化は見られず

 融資を受けた理由の質問では、「デポジットなど一時的費用立替のため」は62%と前回調査から11ポイント増、「旅行会社からの支払いが遅い事による、海外取引先への支払い費用のため」が59%と4ポイント増となった。海外取引先への支払い期日と旅行会社からの入金期日についても、「ほぼ同じ」と「海外への支払期日の方が早い」がどちらも38.8%となっており、海外への支払いが早い場合の対応として立替払いする会社は、前回調査と比べ10%ほど増え、63社中86%にあたる54社となった。日本と諸外国での取引慣習の違いとして、代金支払い時期が遅いという回答も63%であったという。

 一方で、旅行会社との取引で手配代金が契約通り支払われているかの項目では「なされている(ほぼ、概ねを含む)」が94.0%となり、前回から12.8ポイント増で大幅に改善した。

 なお、旅行会社との取引で下請法に抵触するような、あるいは理不尽な取引や条件などを要求されたことはあるか聞いた項目では、「ほとんどない」が62.4%、「一部の会社である」が26.5%であった。OTOAでは、下請法ガイドラインの策定が必要という回答が88%だったことから、業者間取引の改善、協働の推進に向けて中小企業庁や観光庁に対し積極的に働きかけていく。