itt TOKYO2024

ハワイ体験レポート:ワゴングルメ「イート・ザ・ストリート」

  • 2011年6月2日

ワゴングルメ「イート・ザ・ストリート」
~フードトラックで話題の料理を食べ歩き~

月に1度フードトラックが大集合

 ハワイでボリューム満点のプレートランチや名物料理で人気を集めているフードトラック(ワゴン)。日本でもオフィス街に平日登場するワゴン車による屋台ランチが話題となっているが、最近ハワイで人気のフードトラックが一堂に集まり、ワゴングルメが満喫できるイベント「イート・ザ・ストリート」が話題となっている。開催は月に1回のみだが、ランチタイムではなく、夕方から夜までワゴンメニューをじっくり味わえるイベントとあって、回を重ねるたびに来場者数を伸ばしており、何度も足を運ぶリピーターもいるほど。今回はハワイのB級グルメのトレンドを知る上でも見逃せない、同イベントの様子をレポートしたい。

会社帰りのロコに人気のスポットに

来場者が続々と集まってきた

 オアフ島カカアコ地区の駐車場を利用して、フードドラックが何台も集まる「イート・ザ・ストリート」が始まったのは今年1月から。毎月最終金曜の夕方4時から夜9時までの開催となる。カカアコ地区は観光客にはあまり馴染みがないエリアかもしれないが、ホノルルのダウンタウンから車で数分、ハワイ・チルドレンズ・ディスカバリーセンターの近く、えひめ丸慰霊碑があるカカアコ・ウォーターフロント・パークのそばというと、想像がつくであろうか。

友達同士のグループの姿が多い

 同イベントの来場者数は、開始直後は2000人ほどだったのが、翌月は3000人といったように順調に増えており、それに伴ってフードトラックも増加しているとのこと。訪れたのは、雨上がりの夕方6時ごろだったが、30数台のフードトラックが集まっていた。当日心配していた駐車場も広く確保してあり、すんなりと駐車できた。まだ人影はまばらだったが、日が落ち始める夜7時ごろには、多くの人たちがこの場所にやってきた。

フードトラックの顔触れは多彩

 ダウンタウンから、ほど近い立地のせいか、会社帰りの同僚同士、あるいは友達同士で誘い合ってやってきたというローカルの姿がほとんどだ。立ち席用の丸テーブルと、座って食べることのできる簡易なテーブルセットが置いてあり、本当にカジュアルな雰囲気。ワゴンをぐるっと見渡してみるとメキシコ料理のフードトラックが多いという印象を持つ。メキシコ料理は立ちながら、あるいは歩きながら食べるのに便利なメニューが多いためかもしれない。

エスニックから本格メニューまで
チョロズのトラック

 辺りが暗くなり始めると、子ども連れのファミリーも姿を見せ始めた。ノースショアにレストランを持つメキシカンレストランの「チョロズ」のフードトラックもある。メニューはレストランとほぼ同じだが、若干値段を安く設定している。その理由は「今まで食べたことのない人にも試してもらいたい」からだそうだ。その隣には、フードトラックワゴンでありながら、山小屋風のトラック。見かけはかなりの目を引く。ここで売っているのはハンガリーの伝統的な“チムニーケーキ”。チョココロネパンを大きくして中身が入っていないパンといった感じだ。その場で小麦粉をこねて作り、焼きたてを販売している。

山小屋風のトラックでは作られるチムニーケーキ

 列が長くなっていたのは、レンガ作りの釜に香りのよいキアヴェの薪を使った焼きたてのピザを売っている「インフェルノ」のウッド・ファイヤーピザ。通常はワイキキに近いカピオラニ通り沿いの空き地を利用して販売しているそうだ。ピザは大きなスライスで1枚3ドルと値段もお手頃。一方、人気のワゴン「メルト」は、3人のプロのシェフがビジネスを立ち上げたことで注目を集めている。そのうちの1人は創作日本料理の人気店「ノブ」の元シェフという。とろけたチーズをサンドイッチしたもので、チェダー、ゴーダそしてグルエールのトリプルメルトなどバリエーションも豊富。このほかにもフォアグラのスープ、ロブスタービスケットとワゴンとは思えない“グルメ”なメニューを手がけていることが人気の理由だという。

人気を集めていたインフェルノのピザ

 赤いワゴンで目をひくのが「コイ・ケイタリング&テイクアウト」。ガーリックアヒ(まぐろ)、エビなどのプレートランチの人気ワゴンで、2006年にホノルルマガジンによるベストワゴンランチに選ばれている。現在ではダウンタウン近くに店舗をオープンさせている。ただ、このようなアワード受賞ワゴンや有名シェフなどのフードトラックは少数派で、その多くが、まだ自分の店舗を持っていない場合がほとんどである。いきなりレストランをオープンさせるのはお金もかかって大変だが、このワゴンであれば少ない投資で自分の料理をアピールできる醍醐味がある。ワゴンで人気を集めた後に、自分のレストランを持ちたいと思っている人も多いという。

新たなワゴンが毎月登場
主催者のブース

 このイベントを主催しているストリート・グリンズ・ドットコムの創設者であるポニー・アスキーは昨年9月からウェブサイトを立ち上げ、数あるフードトラックの料理が毎日どこで買えるかをまとめて紹介をしていた。「その後ロサンゼルスでフードトラックがブームとなっていることを知ったが、フードトラックの歴史ならロスよりハワイのほうが長いはず。歴史も種類もたくさんあるフードトラックを1ヶ所にまとめてみよう。また、通常はランチでしか食べることができない人気のフードトラックの料理をディナーで食べたいという需要もあると思った」というのが、イベントを開始した理由だ。

コイ・ケイタリング&テイクアウトの赤いトラック

 スポンサーとして、カメハメハスクール&ビショップ・エステートと、ウェブマガジンのノンストップの参加を得て、今年に入っていよいよ「イート・ザ・ストリート」がスタートした。イベントの会場は、ダウンタウンとアラモアナの真ん中の立地だが、あまりレストランもなく、地元の人にとっても通り過ぎるだけの場所だったという。将来的にホップでクールな“アーバンコミュニティ”をこの地区に作りたいとのカメハメハスクール&ビショップ・エステートの考えもあり、このエリアに地元の人を集めるためのひとつの布石として、イベントの開催場所に選ばれたという経緯だそうだ。

気軽に楽しめるメニューは来場者にとっても魅力

 アスキーさんは、毎月新しいフードトラックをイベントに加えるため、実際にワゴンを見て、味をチェックし、衛生状況なども調べた後に、ワゴンを誘致している。「来月はキューバ料理のワゴンがやってくる」そうで、バラエティに富んだメニューを充実させていきたいと意気込んでいる。地元の人も、いろいろな食べ物が集まるイート・ザ・ストリートにやってきては、何品かの料理を試すといった人もいるし、お気に入りのワゴンに立ち寄ってテイクアウトをして帰る人もいる。観光客はほとんど見かけなかったが、ワイキキからザ・バスを利用してアクセス可能だ。ハワイならではの開放感あふれるアウトドアスタイルのイベントという点と、気軽にさまざまなメニューが味わえるグルメスポットとして、観光客にとっても興味深いイベントとなることだろう。

今週のハワイ50選
ダウンタウン(オアフ島)
ノースショア(オアフ島)
ワイキキ(オアフ島)


取材:堀内章子