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欧州系航空会社、4月も震災影響−火山反動で旅客数は上昇

  • 2011年5月17日
 欧州系航空会社がこれまでに発表した4月の運航実績で、3月に続き東日本大震災の影響が表れている。前年には火山噴火によって空港が閉鎖されるなどしたため、アジア路線や大陸間路線など日本を含む路線でも旅客数や旅客輸送量、座席供給量が前年よりも大きく増加している会社が多い、しかし、各社ともロードファクター(L/F)の低下が目立ち、座席の調整を上回る需要の低下に直面している可能性が見て取れる。

 ルフトハンザ・ドイツ航空(LH)とスイス・インターナショナル・エアラインズ(LX)、オーストリア航空(OS)などルフトハンザ・グループのアジア太平洋線では、旅客数が15.6%増の46万7000人と増加。しかし、座席供給量を表す有効座席キロ(ASK)を21.8%増としたのに対し、旅客輸送量をあらわす有償旅客キロ(RPK)が13.3%増に留まったため、L/Fは5.7ポイント減の75.1%となった。LHも同様の傾向だ。


 また、LXの大陸間路線はアジア太平洋と政情不安の続く中東・アフリカ方面でL/Fが減少。ただし、欧州内と北米は好調であったため、L/Fは0.3ポイント減の84.5%と高い数値。一方、OSの大陸間路線は8.8ポイント減の71.3%で、OSでは「中東と日本での危機によって我々の成長が鈍化している」とコメント。ただし、「市場環境は引き続き困難」であるものの、「夏の間の復調を見込んでいる」という。


 エールフランス航空/KLMオランダ航空(AF/KL)グループのアジア太平洋路線は、旅客数が17.1%増の45万1000人、ASKが19.0%増、RPKが16.0%増となり、L/Fは2.1ポイント減の81.4%。この結果についてAF/KLは、「日本の難局による影響が顕著」と報告している。


 ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)のアジア太平洋路線では、旅客数が30.3%増の12万1000人、ASKが31.5%増、RPKが30.7%増といずれも3割を超える伸びを見せ、L/Fは0.5ポイント減の79.8%。


 このほか、フィンエアー(AY)のアジア路線も旅客数が33.7%増の10万6900人、ASKが47.0%増、RPKが34.1%増で、L/Fは6.7ポイント減の69.8%。特に、欧州発の需要に強い影響が出ているという。

 スカンジナビア航空(SK)の大陸間路線では、旅客数が21.3%増の10万4000人、ASKが21.8%増、RPKが17.2%増。L/Fは3.2%ポイント減ながら81.7%と8割台を確保している。


 なお、火山による大幅な減少を受けた2010年ではなく、2009年と比較すると、公的資金の投入を受けたことで路線拡大が限定されているOSを除いて、各社とも旅客数、ASK、RPKが増加している。


▽米系の太平洋路線でもL/F低下

 デルタ航空(DL)、ユナイテッド航空/コンチネンタル航空(UA/CO)、アメリカン航空(AA)、エア・カナダ(AC)の北米系航空会社も、欧米系と同様、太平洋路線でL/Fの低下を報告している。

 DLは、有効座席マイル(ASM)を8.5%増と拡大したところ有償旅客マイル(RPM)が3.0%減となり、L/Fは8.5ポイント減の71.8%。UA/COはASMを3.9%減と絞ったものの、RPMが8.4%減となったため、L/Fは3.8ポイント減の75.4%。


 また、AAはASMを26.8%増と大幅に増加しており、RPMも8.9%増となったものの、L/Fは11.6ポイント減の70.7%となった。ACはASMの15.0%増に対してRPMが10.5%増となり、L/Fは3.4ポイント減の83.8%であった。




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