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投稿:行政、業界、メディアによる平和産業の絆を(旅行ジャーナリスト)

  • 2011年4月9日
トラベルジャーナリスト・寺田直子氏
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 みなさま震災後、不安と怒涛の日々をお過ごしのことと思います。正直いって、私もどのような方向性を持って公私共に進んでいけばいいのか、正直、迷っています。これほど自分の非力さを実感したことはありません。とはいえ、一歩ずつ周囲から助けられながらも前に向かわなければならないのも事実です。

 今までのスマトラ地震津波、バリ島の爆破テロ、香港のSARSなどで観光復興の経緯を見てきた経験からいいますと、これからしばらくはお察しのように観光業界は大打撃をこうむることでしょう。

 特に原発問題は長引くはずなのでインバウンドに期待が持てなくなります。さらに、余震に関しては決してまだ安心できないレベルなので、そういった場所へ観光客を誘致することも正直、躊躇します。

 それでも時間が経てば、いつかは「復興」の時期になります。

 それがいつになるのか。

 これほど大きな災害からは想像もつきませんが、おそらく夏以降からが本格的になることと考えています。

 寺田個人としては、トラベルジャーナリストとして今後、大きく以下のことに全力を注ぐつもりです。時系列に。

・被災地への募金活動
※これは観光産業にかかわらず日本全体で行なっていることですが、今の勢いも時間が経つにつれてパワーダウンし、復興サポートへの想いも疲弊していきます。なるべく持続できるスタイルで、つまり無理をせず、時には楽しみながら募金活動、被災地復興のサポートができるもの。そのあたりを、すでに実施している団体やこれから行うであろうイベント、プロジェクトなどを後方&広報支援していきたいと思っています。

・夏休みの「計画停電」ならぬ「計画休暇」のススメ
※夏場の電力供給不安解消として個人、企業単位での分散休暇の重要性をアピール。アウトバウンド活性のためには海外旅行を。この場合、今回、多大な義捐金、ボランティアをしてくれた台湾、韓国、中国、アメリカなどのデスティネーションへ「恩返し」を兼ねて積極的に行く。

 あるいは被災地周辺で健全に営業をする東北地域への避暑を兼ねた国内旅行を。このようなムーブメントを生み出すための記事執筆、メディア出演、ブログ、ツイッターなどのソーシャルネットワークでの発信を個人的に行っていくつもりです。業界に対しては後押しするような商品販売に期待したいところです。

・海外ジャーナリストとの連携強化
 ※これは以前から活動していましたが、さらに今回の震災後の復興のためにも海外メディアのサポートが必要と判断。特に日本に興味を持つ韓国、台湾、中国などかぎりなく日本と密接な隣国アジア圏のメディアと共に、日本だけではなくアジアの観光推進という点を、ソーシャルネットワークを活かして発信したいと思っています。


 4月3日現在、お亡くなりになった方が1万2000人以上、いまだ、行方不明の方が1万5000人以上いる状況で、「復興」の言葉は早計ですし、申し訳ない気持ちも多々、あります。それでも、残された我々は被災されたみなさん、被災した美しい村、町、都市が一刻でも早く再生し、新しい希望を持ってくださることを願い、微力ながら全力でお手伝いさせていただきたいと考えています。

 今後は、行政、業界、メディア(フリーランス)がそれぞれの特性、経験値、スキルを活用しながら連携していく必要性も痛切しています。ぜひ、この場がそのきっかけになることを願っています。

「ツーリズムは平和産業である」

 この想いをずっと持ちつつ仕事をしてきました。今まさにそれを発信し、復興へとつなぐのが我々、旅を生業にする業界であり、メディアであると信じています。


※メッセージは4月3日に受け取り、確認の上、掲載しました。

トラベルビジョンでは、業界の皆様からのメッセージ、ご意見など、投稿を
受け付けています。今回の震災について、現在の状況のレポートや、支援・
復興に向けての取り組み、意見やメッセージなど、旅行業界に伝えたいこと
を文章や写真で、編集部までお寄せください。 

    投稿宛先>>mailto:editor@travelvision.co.jp
           FAX:03-3238-5386

※掲載にあたり、氏名や勤務先の明記は必須条件ではありませんが、業種と業務内容は必ず、記載します。
※掲載前に確認をさせていただきますので、必ずお名前と勤務先、ご連絡先を記載してください。


▽過去の「投稿」一覧
投稿:世界からの支援に「ありがとう」を(広報代理業・被災地域出身者)(2011/04/08)
投稿:震災後、ある旅行者から勇気づけられた一言(海外ホテル予約旅行会社)(2011/04/04)
投稿:新しい中国人の日本観−震災報道がきっかけに(中国の旅行会社・社長)(2011/04/02)