コンチネンタル航空マーク・アーウィン氏、ACCJで講演−戦略などを語る

  • 2007年10月17日
 コンチネンタル航空(CO)アジア・太平洋地区社長のマーク・アーウィン氏は在日米国商工会議所(ACCJ)で講演し、同社の戦略や今後の方向性などを語った。会場からはボーイングが発表した新型機納入延期についての質問され、今後の旅行、航空ビジネスの動向に注目が集まる中での登場とあり、熱心に聞き入る姿が見受けられた。

 COは、今年日本就航30周年を迎える。この間、グアム線を皮切りとし、現在は成田発ニューヨーク線、ヒューストン線のビジネス路線、成田をはじめ日本8都市からグアムへの定期便を運航するリゾートと、二本柱を築いている(2007年10月11日記事参照)。航空会社は燃油費高騰がコスト面で大きな課題となるが、90年代から経営改善に着手、収益拡大、コスト削減、サービス拡充、社員などスタッフの満足度向上を大きな目標をもち、社内文化の醸成にも務めた効果が現在につながっているとの考えを示した。
コンチネンタル・アーウィン氏、「アジア直行便化は供給量増」−拡大も視野 (2007.10.11)

 また、この数年、米でハブとするニューアークは欧州の主要都市と第二の都市(:地方主要都市)への就航のほか、ヒューストンはメキシコ31都市をはじめ中南米へのネットワークを拡大につなげている。こうした戦略を進める上で、乗継利便の確保は重要な施策だ。このため、日本からの発着旅客の乗継方面として多い中南米については「インターナショナル・トゥ・インターナショナル(ITI)」として、最終目的地で荷物を受け取ることができるサービスを開始し、これを全面的に運用開始するというサービス拡充も進めている。こうした国際線の拡大施策は、アメリカ国内で格安航空会社(LCC)の勢力拡大に伴い、競争環境が厳しくなっていることを踏まえたもの。COは国際線53%、国内線47%だが、アメリカン航空(AA)が国際64%に国内36%、デルタ航空(DL)は国際66%に国内34%、ノースウエスト航空(NW)は国際59%、国内41%、ユナイテッド航空(UA)は国際61%、国内39%であり、最も国際・国内線のバランスが取れていると強調。アーウィン氏はまた、最近のDLの再生事例に触れ、国際線拡充施策が他社に先駆けた成功事例であったとの考えを示した。
CO、ヒューストンで国際線の新ターミナル供用へ、国際線強化は継続 (2006.01.19)
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デルタ航空、チャプター11脱却、新ブランド採用し、国際線拡大路線継続へ(2007.5.7)

 路線展開と一体となるのが、機材構成。これについては保有機材を絞りこむ。ボーイングB777型機、B767/757型機、B737型機の3種とシンプルな構成をとることで、パイロット、乗員の訓練にかかる経費を抑えられるほか、機材繰りの効率化、少ない機種により、部品調達での効率の高まり、新型機の積極的な導入で燃油費削減に効果を挙げている。また、新機材導入は効果的な燃油の運航ができ、燃油量は1997年から10年間で約35%の節減につながり、世界的な課題である環境問題にも貢献しているという。特に、B737型機には、5%程度の燃油削減効果のあるウィングレットを装着し、燃油使用量を考慮した機材構成となっている。
CO、消費燃料5%ほど節約できる機材をグアム/日本間に投入 (2005. 9.1)
コンチネンタル航空、B737型機シリーズで航続距離長い機材の発注に切り替え(2006.8.7)

 新機材となるボーイング787型機については、航続距離が長くなり、これまで直行便で就航できなかった地点への就航が可能となるほか、燃費効率もよく、戦略的に優れているとのことから「ゲームチェンジャー」と評し、今後の「ビジネスに大きな変化をもたらす」という。ただし、ボーイングから発表されている納入期限の延期については、「まだ連絡は無い」とし、現時点では大きな影響は無いという見通しを示した。
ボーイング、787型機の初号機納入を半年延期−NH、影響度を精査中(2007.10.12)

 こうした施策で、2006年通期(2006年1月〜12月)は純利益3億4300万米ドル(約417億194万円、当時)、今年も第1四半期に2001年以来の営業利益、第2四半期も2億2800万米ドルを計上しており、業績は好調だ。昨年はプロフィット・シェアリングも年初に実施し、マーク・アーウィン氏が来日し、日本支社でも社員に手渡しするなど、全社で1億1100万米ドルを分配した。これはLCCの5900万米ドル、NWの3300万米ドル、UAの1100万米ドルと比べても額として大きく、社風の醸成にも一役果たしているとの考えだ。
コンチネンタル航空、アジア太平洋地区社長が来日、社員に利益分配金を手渡し
コンチネンタル航空、06年通期の純利益は3億4300万米ドルを計上(2007.01.29)