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JATA奥山氏、長期的視座の提言を−「中小との対話を」石山前事務局長

  • 2007年7月5日
 日本旅行業協会(JATA)の事務局長に奥山隆哉氏が着任しているが、このほど業界紙との定例会見において抱負、意気込みなどを語った。奥山氏は「JTBでの経験を業界、協会活動に活かせれば」とした上で、旅行・観光産業について「アウトバウンドでは消費を促し、国内旅行とインバウンドでは宿泊施設や交通機関など実経済と2つの側面を支えるのはこの産業だけではないか」と業界の特異な役割について認識を示し、日常業務と同時に長期的な視野で方向性を定めて行きたいという考えを示した。長期的展望での業界の動向などについては、トップアドバイザリー会議の提言などに基づき、2010年以降の世界的な旅行業界の動向や日本国内の動向なども鑑みながら、長期的な視座での提言をまとめたい考えだ。

 また、観光資源の保全は特に環境問題などと絡み、近年は大きなテーマとなってきている。これについても「環境だけでなく遺跡の保護など、幅広く持続可能性を探る」とし、旅行会社、業界が関わっていく領域を見定めるという。これ以外にも「具体的に確たることを持って語るわけではない」としながら「航空運賃を定めるIATAのルール、オープンスカイなどと関連し、自由に機材を利用できる、ネットの流れ」など、今後の旅行業界に大きな変化をもたらすとし、「もともと規制の少ない旅行業界に、さらに制限が無くなっていく時代に、JATAはオピニオンリーダーとしても一定の役割を果たしていく必要がある」とも語った。

 常勤参与となった前事務局長の石山醇氏は9年間を振り返り、「着任当初の大型倒産、2000年問題、同時多発テロ、SARSなど降りかかり、業法改正などもあった」と難しく、かつ価値基準の変化した時代であったという。その一方、「旅行業は右肩上がりの成長で、それほど努力しなくとも市場が拡大してきた」と省みながら、現在は国内、訪日、アウトバウンドと一定の「方向性、戦略を持つことが出来た」とも評価。今後の課題として、グローバル化が進む中で、消費者保護を国内だけを念頭にしてきたが、他国のビジネスモデルの日本上陸、あるいは訪日外客の日本国内での旅行中の保護など「やらなければいけないことは多い」との認識も示した。

 また、約1200社のJATA会員のうち「95%はスモール・ビジネス」とし、大手中心の施策を採ると対応しきれない会社も多いという認識を示し、「2000万人プロジェクトの反省はあり、数の論理だけではなく、お客様に一番近い人たちとの対話を大事にしていかないといけない」と奥山氏にエールを送った。

奥山隆哉氏<略歴>
1970年4月 日本交通公社入社
1983年2月  同 東京営業本部営業企画グループリーダー
1985年2月  同 団体旅行日本橋支店業務課長
1988年6月  同 本社事業開発室主査(国際担当)
1991年2月  同 <英国駐在>JTB (Europe) Ltd.取締役(欧州支配人室営業部長)
1993年10月  同 本社経営企画室会長付調査役(業界対応)
1997年6月  同 <英国駐在>JTB (UK) Ltd.取締役社長(ロンドン支店長)兼任My Bus(UK)Ltd. 取締役社長兼任City Circle Ltd. 取締役社長
2001年4月  同 本社秘書室長
2003年6月 沖縄県米州開発銀行沖縄総会実行委員会事務局長
2005年6月 JTBエステート常勤監査役、JTBトラベランド監査役、プラザサンルート監査役
2006年6月 JTBエイティーシー代表取締役社長