若手のチャンス拡大に期待できるホテル業界へ-ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄総支配人 村尾茂樹氏

  • 2022年12月1日

ファミリー客を中心に戻り始めたリゾート需要
ユニークなプログラムでオフシーズンの取り込みを図る

-近隣ホテルと協力や連携する体制はあるのですか。

村尾 恩納村のホテルで総支配人会という集まりを作っています。総支配人会として村との協議に当たったりしますが、コロナ禍中には皆で協力してワクチンの職域接種を行いました。ホテル間をつなぐ移動交通手段も実現したいと考えていて、実証実験を始めています。将来的にはハワイやグアムのように宿泊客が観光やショッピングの足としても使えるようなシャトルバスを共同で運行できればと思っています。

-今後の需要回復に向けて人材確保が課題になりますが、どのような対策をお考えですか。

村尾 人材確保は大きな課題です。需要が戻っても100%まで客室を稼働してしまえばお客様に提供したいサービスができない。ならば60%に抑えよう。そう考えても実際には稼働率のコントロールは大変難しいし、人員のキャパシティや労働時間も細かく見て調整しなければ人材も定着しません。何より人材が疲弊してしまうことを一番避けなくてはなりません。

-コロナ禍中の就任で、思うように采配を振るえない面もあったと思います。需要回復を見据えて何か新たな取り組みを考えていますか。

村尾 このホテルにとって重要なことは、やはり非日常のリゾート感を演出する仕掛けだと思います。どういう体験を宿泊客に提供できるか。昨年はリゾート・エクスペリエンス・チームを作って皆にコンテンツのアイデアを出してもらいました。これからもホテル一丸となってアイデアを考え、良いものはどんどん積極的に実現させます。うまく成果が出ればそれでよし。そうでなければ止めればいいだけ。正解はないのですから、まずはやってみる。アイデアを形にすることで、皆のモチベーションも上がるしやる気も刺激できます。

-最後に読者へのメッセージをお願いいたします。

村尾 私は最初ベルボーイとして観光産業に関わるようになりました。お客様が楽しむお手伝いをできる仕事が好きで、お客様が「あの旅行は楽しかったね」と記憶を振り返れるような体験を作る仕事に携わっていることも喜びでした。なかなか他にはない仕事だと感じています。その点は観光産業が胸を張っていい部分だと思います。

 一方で、かつては年功序列が強く若手が力を発揮しづらいうえ、待遇もあまりよくないといったマイナス面がありました。しかしコロナ禍を経てホテルバブルが崩壊し、ホテル業界は変わりつつあります。特に若手にとってはこれまでよりもはるかにチャンスが広がってきています。新しい考え方で勉強していけば年功序列を超えて活躍できますし、海外に活躍の場を見つけることも可能です。私自身はたまたま30代で総支配人に就くことができましたが、今後は若くして責任ある立場に立つ人材がどんどん増えてくると期待しています。

-ありがとうございました。