【コラム】KNTのリストラは大手旅行会社の終わりの始まりなのか

  • 2020年11月16日

 先週はKNT-CTホールディングスのリストラに関するニュースが流れました。

 トラベルビジョンでも勿論取り上げたのですが、2025年3月までに全従業員の3分の1を希望退職等で削減、店舗は2022年3月までに3分の2を閉鎖、「メイト」や「ホリデイ」ブランドの終了と言う衝撃的な内容の割には、業界内の受け止め方は冷静だったように思います。

 この状況下では、大手といえどもコスト削減や事業構造改革は必然だと大半の業界人が感じているのだと思われます。

 JTBやHISも店舗の大幅な削減を発表しており、これまで日本中の主要都市に当たり前のように存在していた旅行カウンター店舗は徐々に姿を消すことになるでしょう。

 また、JTBはコロナ禍前から「脱旅行代理店」を宣言、HISは新たに事業化した「蕎麦屋」が100店舗を超えたら上場すると公言しています。他の大手中堅旅行会社もオンラインへのシフトや新規事業へ取り組むことを当然考えているでしょう。

 コロナ後の旅行業界には、これまで我々がイメージしていた「大手旅行会社」の定義(旅行専業で多数のカウンター店舗や支店・社員を擁し、誰でも名前を知っている会社)に当てはまる会社は一体何社残っているのでしょうか。また、これから業界内ではこれまでにない規模とスピードで合従連衡も進むと思われます。今から3年後(わずか3年後)の「2023年」に観光庁発表の「主要旅行会社取扱概況」に掲載される旅行会社名を予想出来る人はいないでしょう。

旅行業界はまさに五里霧中。

 どんな「霧」でもいつかは晴れますが、その後の青空を見るためには一度過去の成功体験はきっぱり忘れ、潜在を含む真のニーズを探り当て、そこに向かってリスクも取りながら懸命に取組む以外無いのだと思います。