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新型コロナ、ANTA会員5600社への影響と今後は-有野専務に聞く

アンケートで危機的な窮状が明らかに
収束後のV字回復へ「戦略考える機会に」

-政府への要望以外には、どのようなことに取り組んでいますか

有野氏 有野 さまざまな支援のための窓口や手続きを周知するなど、とにかくできることすべてに取り組んでいます。今回はどこか1つを助ければいいという問題ではなく、全方位で取り組まなければならない危機的な状況であると思っています。

 旅行会社の倒産については、すでに広島の会員企業の破産が新型コロナウイルス関連の倒産として報道されていますが(関連記事)、まだ頻発している状況ではありません。なお、認証申出手続き中の会員企業がありますが、倒産の理由が新型コロナウイルスの影響によるものか否かについては見極めが難しいところです。もちろん、認証となる案件が発生した場合は、消費者のために弁済業務にしっかりと取り組みます。

 そのほか政府への要望に加えて、与党には「中小旅行業者の旅行業の登録の有効期間の延長と更新登録の要件緩和」もお願いしましたが、3月末に観光庁から、更新登録に関して旅行業法の適用を弾力的に取り扱うとの通知をいただいたので、早速会員企業に周知したところです。ANTAに多い第2種と第3種の旅行業者の登録は都道府県が実施していますが、各都道府県におかれても観光庁の通知に従った対応をしていただけることと思います(関連記事)

-感染拡大が収束した後には、国を挙げた需要喚起策が実施されると思いますが、どのような需要回復をイメージしていますか

有野 まずは国内旅行から回復が始まると思います。海外旅行や訪日旅行は、各国間で国際線が運航されていなければ回復の計画を描けないと思うからです。国内の落ち着いた地域から、安全・安心のための対策を徹底した上で、順次回復キャンペーンを始めていくことになるのではないでしょうか。

 ANTAの会員企業の8割以上が国内旅行を主力としていますが、大都市圏、北海道、沖縄などには訪日旅行を主力とし、大きな損害を受けている会員企業もあります。今回の新型コロナウイルス感染症の問題を契機に、取扱客の国籍の分散化や、訪日と国内のバランスの改善など、経営戦略を練り直す企業も出てくるでしょう。現状は危機的な状況ですが、このような時期だからこそ、将来の戦略を考えていく機会にもなるのではないでしょうか。

 海外旅行と訪日旅行については、世界がこの危機を乗り越えた後に、再びそれぞれの目標に向かっていくことになると思います。国際交流は終息後にしっかりと続けていかなければなりません。二階会長によって長年推進されてきました双方向の交流は、新型コロナウイルスの終息後において、さらに一層発展することを願っています。

 ANTAとしては、日本の皆さんに再び旅行を楽しんでいただくために、改めて日本の津々浦々の観光資源の素晴らしさをアピールし、国内旅行の魅力を伝えていきたいと思っています。5600社の会員と力を合わせて、需要の回復と喚起に努めます。

-ありがとうございました