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留学は強力なタビナカコンテンツ-教育事業のISIが旅行業参入

「ISIスタディトラベル本部」設立、まずは海外留学に付加価値
一気通貫のサービスで保護者の負担軽減、差別化へ

-日本の海外留学市場の概況についても教えてください

中村氏 中村 日本の語学教育マーケットは、教材やeラーニングなども含めると9000億円ほどの規模があり、そのうち留学マーケットは240億円程度だが、少子化にもかかわらず子供1人あたりの教育費は増加し、ここ数年の市場規模は拡大基調にある。英語教育の低年齢化によって小学生向け留学や親子留学なども増え、また、成長ステージごとにさまざまな留学プログラムを活用するリピーターも増加しているので、持続可能なマーケットだと認識している。

 また、最近では留学期間の短期化が進んでいて、3ヶ月未満のものが全体の8割を占めており、そのなかでも特に2、3週間の留学が増えている。「旅行感覚の留学」といった趣きがあるが、この傾向は続くと見られており、その意味でも語学学習をフックにした旅行サービスには勝算があると思う。

-最初から強力なタビナカのコンテンツだけは持っている、という状態ですね

中村 そう言えると思う。そもそも留学には移動が付きものなので、2、3年前から「教育旅行」を大きなビジネスにしようとする構想はあり、立ち上げに向けた本格的な動きは昨年の1月頃から開始していた。今年の4月からは組織改編によりマーケティング統括部のなかにISIスタディトラベル本部を置き、本格的にさまざま旅行サービスを提供していく方針だ。まずは日本人の海外留学のサービス拡充に注力する。

 日本人の海外留学については、これまではカウンセリングをして海外の提携教育機関へ送り出すだけで、航空券や保険などは外部業者に委託していた。しかし高校生以下のジュニアがメイン顧客で、さらに低年齢化も進んでいることから、今後は我々が直接、留学手配に関して保護者の負担を減らすことや、留学先での手厚いサポートを提供することが、唯一の差別化ポイントになると考えた。カウンセリングから帰国までの、つまり「カスタマーサクセス」にコミットするワンストップサービスを、一気通貫で提供していきたいと考えている。

 そのほか日本人の海外留学だけでなく、ISIに来た外国人留学生が一時帰国するときの航空券手配や、スタッフの海外出張手配なども手掛ける考えだ。グループ全体にとって、さまざまな波及効果が見込めると思う。

-当面の予定や目標についてお聞かせください

中村 まずは第1フェーズとして、ジュニア向けの海外留学プログラムの付加価値を高めるために、パッケージ型グループ留学の受注企画や個人留学プログラムへの航空券や保険の併売、現地の語学学校とのタイアップによる学生交流・相互学習体験などの企画を手掛けていきたい。国内には夏や春の海外語学研修などに学校単位で取り組んでいる中学校や高校もあるので、その受け皿としてお役に立てると思うし、各校との関係強化につながるだろう。

 最初はスモールスタートで受注型企画旅行から始め、徐々に大きく育てていきたい。来年度は500人くらいを取り扱い、売上高は3億円をめざすつもりだ。