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週間ランキング、1位はJALのNDC導入も、新型肺炎関連が席巻

[総評] 今週は、新型コロナウィルスに関連した話題が10本中5本を占めました。新型肺炎の話題は一般メディアがこれでもかと取り上げており、トラベルビジョンで同じようなことをするのはと静観していましたが、ここにきて日系航空会社による中国路線の運休や減便がはじまり、旅行業界専門メディアが丁寧に取り上げるべきと書きはじめたところアクセスも多く集まったかたちです。

 今週掲載を開始したリンク集で、米国のジョンズ・ホプキンズ大学システム科学工学センター(CSSE)によるインタラクティブマップをご紹介しました。感染、死亡、回復の数を取りまとめたうえで、感染状況を地図上でわかりやすく表示してくれるものです。正確な情報を収集してむやみに恐怖せずにできることをしていくことが必要ですが、その土台となるツールと言えると思います。

 リンク集には、転載した2月3日13時現在の画面キャプチャ画像を掲載しており、本稿執筆時点の2月7日12時12分現在と比較すると感染者の数は1万7323人から3万1440人とたった数日で大きく増えています。これだけ見ると恐ろしさを強く感じますが、しっかり見れば回復数も486人から1547人と3倍以上に増えています。死亡数を含めてグラフにしたのが下図で、こうして見ると印象も多少は変わるのではないでしょうか。


 もちろん、これから毒性が強まる可能性もあるそうですし、中国側の発表が不正確である可能性もあり、リスクを矮小化するべきではありません。繰り返しになりますが、正しい情報を常に収集し、状況の変化を想定しながら慌てずに動けるようにしておくことが最も重要かと思います。

 ちなみに、この数日はダイヤモンド・プリンセスがニュースなどで取り上げられる機会が多く見られます。木曜日の朝に観ていたニュース番組では、まるで旅番組のように船内の様子が普通に紹介され、最後に思い出したように感染者がレストランや大浴場にも行っていたと締めくくっていましたが、望んでも到底実現できないようなメディア露出の規模となっているような気がします。

 ネガティブな話題がきっかけではあるものの、責任が船会社にあるわけではないこともあってか、私の妻の職場では「中はあんな風になっているんだ」「落ち着いたら乗ってみたい」というような会話が交わされているようです。これもまた、時期が来たら動けるように備えておくべき事例のひとつかと思います。香港でデモの影響の取材をした際に、「今は我慢している人がきっと大きく動き出す」という声が聞かれましたが、新型肺炎についても同じことがいえるかもしれません。

 さて、ランキング第1位に言及するのを忘れていましたが、1位は日本航空(JL)によるNDC導入発表でした。NDCは日本ではなかなか動きが鈍い状態でしたが、これで日系2社が対応を発表したことになり、これを機会に状況が変化していく可能性があります。ただ、個人的には、今のところ両社とも欧米の先進企業からの遅れを取り戻そうというような雰囲気というよりこれ以上遅れるわけにはいかないという印象で、急ピッチで変化していくかというとそんなことはない気がしています。

 とはいえ、諸外国で起きることは日本にも到来すると考えた方が良く、遅かれ早かれ旅行会社も対応を迫られます。そう考えると、新型コロナウィルスのせいでできることが限られる状況下ですし、NDCとの向き合い方を考えてみるなど普段できないことをするのにも良い機会かもしれません。(松本)

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