在留外国人のアウト需要を獲得-南米だけじゃないアルファインテル

入管法改正で「エスニックマーケット」さらに拡大
まずはフィリピン、ベトナムやネパールも視野に

-南米旅行専門の会社が、在日フィリピン人の取り込みを始めた理由について教えてください

塩脇氏 塩脇 「在日南米人への航空券販売のノウハウを生かして、新たなマーケットを開拓できないか」と考えた時、日本における在留者数が多く、最もノウハウを活かせそうだったのが在日フィリピン人でした。フィリピンは他のアジアの国々とは違って、スペインとのつながりが非常に深い国ですが、その点では南米と共通しています。

 例えば、宗教に関してはともにカトリックが多数派で、家族の結びつきが強く、クリスマスには何とかして帰国しようと努力するなど、さまざまな面で共通点が見られ、我々もお客様の気持ちやニーズを理解しやすいです。その結果、取扱高はブラジルに次ぐ2番手にまで成長させることができました。

-急増している在日ベトナム人やネパール人などにも同様のアプローチは可能ですか

塩脇 ここまで急増しているベトナム人に対しても、取り組みを開始しなくてはいけないと考えていますが、同じ東南アジア人でもフィリピン人とベトナム人では、取り巻く環境や事情などが大きく違います。例えば、フィリピン人には日本人男性と結婚した人が多く、母国との行き来は比較的自由にできます。しかしベトナム人については技能研修などで来日したケースが多く、ビザの関係上、簡単に行き来するわけにはいかない事情があります。

 一方、ネパール人については往来が比較的自由な留学生などが多いので、どちらかと言えばフィリピン人と似た状況にあり、しかもネパール航空(RA)が近日中に日本線を再開する追い風もあるので、ベトナム人よりも先に取り組むことができるのではないかと考えています。そのほか、インドネシア人やタイ人については技能実習生が増加していて、状況はベトナム人に似ているので…と、それぞれのマーケットについて、環境を詳しくリサーチしていく必要があります。

-単なる航空券販売ではOTAの攻勢に押されるのではありませんか

塩脇 今のところは脅威ではありません。例えば在日ブラジル人の場合、20年から30年ほど前に来日した人が多いですが、ブラジルを離れて久しいので、ブラジルのOTA事情には疎く、一方で言葉の問題から日本のOTAにも馴染めない人が多くいます。「20年間も日本に住んでいるのなら、日本語には不自由しないだろう」と思われがちですが、長く住んでいても不得手な人はたくさんいます。ロサンゼルスで長く暮らしていても、英語を話せない日系人がいるのと同じです。

 一般的な日本人ともブラジル人と違う環境にある彼らにとって、新たに成長してきたOTAはやや縁遠いもので、不安もあります。実際に、OTAで航空券を買った方が、米国での乗り換えの際にトランジットビザが必要であることを知らず、成田で搭乗を拒否されたケースが起きたりしています。そこで結局は、電話で自分たちの言葉で話すことができ、これまでと同様に安心して依頼できるアルファインテルを選ぶ、というお客様が多いのだと思います。