itt TOKYO2024

エコからワインまで、カナダ・オンタリオの知られざる魅力

トロントからたった3時間の大自然
誰でも楽しめるソフトアクティビティ

テロワールを活かしたベリー系ワインを試飲

「セイント・マリー・アマング・ザ・ヒューロン」にある17 世紀当時の家屋で伝承を聞く

 ブルーマウンテンを後にしたツアーは、ミッドランドにある17世紀のヨーロッパ人入植時代を再現した文化村「セイント・マリー・アマング・ザ・ヒューロン」で往時の生活を垣間見た後、マスコーカに移動した。ちょうどジョージアン湾とアルゴンキン州立公園の間にある地域だ。

「マスコーカ・レイク・ファーム&ワイナリー」でベリー系ワインの試飲

 ここでは、豊かな土壌を活かした農作が盛んで、なかでもベリー系はその品質のよさが高い評価を受けているという。そのベリーを使ったワインもこの地域の特産。「マスコーカ・レイク・ファーム&ワイナリー」では、クランベリーやブルーベリーを原材料にしたワインを製造している。ドライテイストから甘いデザートワインまで、この土地のテロワールが詰まったワインは数々の賞を受賞。その独自性から、ここも「カナダ・シグニチュア・エクスペリエンス」選定されている。

 経営しているのはジョンストン一家。3世代にわたって、ベリー栽培とワイン醸造をおこなっている。各種ワインをテイスティングできるサービスも提供しており、カナダ内外からその味を楽しみに観光客が訪れるという。

マスコーカで携帯電話がつながらない豊かさを体感

サプライズ湖でカヌー。オンタリオの自然と一体に

 マスコーカでのハイライトはやはり大自然のなかでのアクティビティ。現地オペレーター「ボイジャー・クエスト」が催行するカヌーツアーに参加した。ボイジャー・クエストはアルゴンキン州立公園周辺に3ヶ所のキャビンを持ち、数々のエコ・アドベンチャープログラムを提供している。そのなかのひとつ、森のなかにひっそりと佇むアルゴンキン・ログキャビンを拠点に、サプライズ湖でのカヌーを体験した。

クオリティの高いキャビンのランチ

 緑の森に囲まれた透き通った湖をガイドの案内で巡る。ガイドが最後方でパドルを操作し、方向を定めてくれるので、素人の下手なパドルさばきでも安心。初心者でも安全にオンタリオの自然の優しさを満喫できる。季節にもよるが、運が良ければ、ムースなどの野生動物も湖畔に現れるという。昼間だけでなく、夜のカヌーツアーも催行。闇夜のなか、周りは何も見えないが、動物の声、森のざわめき、湖のさざなみなど「自然の音」だけを楽しむという。

ジョンさんの愛犬ムースもカヌーが大好き

 オーナーのジョンさんは、「トロントからたった3時間ほどしか離れていないのに、ここでは携帯電話もつながらず、ときどき狼の遠吠えも聞こえる。東京ではありえないでしょう」と話し、オンタリオの自然と生活の豊かさを自慢した。

 カヌー体験のあと、別のロッジに移動して、コーヒーブレイク。また違う湖を前に、デッキチェアに座り、穏やかな5月の陽のもとでコーヒーとアップルパイを楽しんでいると、ここから動きたくなくなってきた。オンタリオスタイルの旅は、アクティビティに加えて、「何もしない」ことにも醍醐味がある。