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旅行会社が学生インターンを物にするには-JATA説明会から

今年は実施前に立教大の専門家が講演
再考すべき「その目的と活用法」とは

貴重な男子、JATAインターン参加は覚悟の証

薬師丸氏  薬師丸氏は学生による志望業界の決定状況については、今年1月の時点で「明確に決まっている」と回答したのは文系の男子では23.3%、女子では20.8%に過ぎず、明確な志望業界が固まっていない段階の学生が多いことを説明。そのような状況にあってJATAのインターンシップに応募する学生は「観光・旅行業界を志望する意志が強い人材」との見方を示した。

 特に文系男子については、20業界における人気ランキングで旅行業界が19位(文系女子では2位)と落ち込んでいることを伝えた上で「裏を返せば、男子で旅行業界のインターンシップに参加してくれる人材はとても貴重」と強調。「業界としてどう育てていくかが問われる」と指摘した。

 学生が就職先企業を選ぶ際に重視するポイントを調査した結果からは、現在の学生の気質が見えることを説明。上位3位までの「将来性」「給与・待遇」「福利厚生」についてはこれまでと同様に安定志向が感じられるが、4位に「職場の雰囲気が良い」が28.5%で入っている点は注目に値すると強調した。

 実際に薬師丸氏が、複数の官庁に受かったある学生に就職先を決定した理由を尋ねたところ、その学生は「職場の雰囲気が一番良かったから」と答え、一流企業4社の内定を得た学生も「収入でもステータスでもなく、ワークライフバランスの取れた企業を選んだ」と答えたという。それらのエピソードも紹介しながら薬師丸氏は、参加者に「学生は仕事の内容だけでなく、先輩たちの働きぶりや職場の雰囲気を非常によく見ていることを知っておくべき」とアドバイスした。

 そのほかには「就職活動解禁までの準備の進め方」に関する回答についても強調。63.7%で最も多い「志望業界・企業への理解を深めたい」に次いで、「インターンシップにたくさん参加したい」が55.6%で2位となっていることを紹介し、学生たちが複数の業界のインターンシップに参加して、業界や企業を比較したい思いが強いことを示した。

 その上で、学生側の要望に応える形でインターンシップの短縮化が進む一方、JATAのインターンシップが2週間に及ぶことについては「学生にとっては多大な犠牲を伴うので、旅行業界を志望する覚悟がかなり強い学生でなければ参加しない。企業にとっては、就活専門サイトなどに何十万円もかけて学生との接点を求めるよりは、はるかに有効な接点作りのチャンスを掴める」との見方を示した。