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HIS澤田社長、「都市」テーマに新事業-旅行は海外発を強化

20年売上高1兆円「それほど難しい数字ではない」
世界で戦えるグローバルプラットフォーム構築へ

-店舗を減らす旅行会社が多いなか、HISは店舗を維持しています

澤田 オンライン時代の今、システム開発やオンラインでの情報提供には力を入れていくが、HISとしては対面サービスも継続する。店舗を大きく撤退させることはない。効率的な経営であれば店舗はいらないかもしれないが、お客様のサービス向上のためには必要だ。

 一方オンラインでは、21年中を目途にBtoCとBtoBで使えるグローバルプラットフォームを構築する。日本を中心に考えるのではなく、世界で戦えるシステムとして開発を始めた。

 グローバルプラットフォームでは国内外のホテルや航空券、アクティビティ、バス、クルーズ、レンタカーなどを販売する。全世界のOTAやメタサーチに接続するとともに、現地の旅行会社やランドオペレーターなどで使えるようにしていく。

-大きな成長が見込めるというホテル事業の今後の展開は

澤田 ホテルは毎月1軒ペースで開業しており、3年から5年後は100軒に達する見込みだ。今年は国内では福岡を皮切りに大阪、京都、金沢に、海外ではニューヨークとトルコのパムッカレに新しいホテルをオープンする。

 ホテル事業の展開はますます加速していくだろう。将来的にグローバルの旅行市場は拡大していく。例えばアジアでは人口が右肩上がりに成長しており、今後間違いなくホテルが足りなくなる。自らホテルを所有していれば、客室をブロックしやすくなるという利点もある。

-ハウステンボスの今後の見通しをお聞かせください

澤田 HISの子会社になって急成長したが、今後は急激な成長はないと思っている。九州の人口が減っているため、日本全国と中国、韓国、台湾などの訪日客を呼び込む戦略が必要になってくる。

 そのひとつとして、訪日クルーズがある。佐世保港が「官民連携による国際クルーズ拠点」に選定され、海外から年間100万人を誘致するため現在整備が進められており、20年には新しい客船ターミナルが完成する予定だ。その際には訪日クルーズからの受け入れを強化したい。また、地元自治体の意向によるが、IRの誘致も可能ではないか。

-エネルギー事業など新規分野に進出しています

澤田 昨年12月末に太陽光発電の実証実験を開始した。一般的に発電コストは1キロワット時あたり15円から20円だが、HTBエナジーはそれよりも安価な値段にし、補助金などに頼らなくてもよい低コストな太陽光発電を供給できるように研究開発している。今年中に工場の建設をめざす。

 さらに植物工場、電気自動車、無人店舗、ロボットのなどの研究を進めている。次はネット銀行を検討している。スマートフォン上の銀行のため経費も人件費もそれほどかからず、生産性が高い。金融も将来ひとつの柱になっていくだろう。

 都市生活をテーマに、世の中に貢献しながらいかに生産性をあげ、企業として利益を出していくかという視点で新規事業を展開している。ハウステンボスは都市のような広さがあるので、さまざまな実証実験が可能だ。まずはハウステンボス内で実証実験し、成功すれば外部に展開する。2、3年で成果が出てくるのではないか。