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ロシア、今年は「異例の1年」、来年も成長へ-セミナー開催

  • 2017年12月12日

羽田氏  ロシアや旧ソ連諸国への旅行を中心に取り扱う、日本旅行業協会(JATA)および日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)正会員のジャパン・エア・トラベル・マーケティング(JATM)はこのほど、在日ロシア連邦大使館や露系航空会社3社の協力のもと、旅行会社向けのロシア観光セミナーを開催した。セミナーは毎年同時期に開催しているもので、日露両政府のビザ取得要件緩和などにより人的交流が加速するなか開かれた、今回は70名超が参加した。

 冒頭で挨拶したJATM代表取締役社長の羽田ダッシュ氏は「今年は日露交流がこれまでになく進展した年。露系航空会社の航空券、日本人旅行者の現地手配、訪日ロシア人旅行者などの取扱は前年比40%増で推移している。チャーター便は昨年の2倍飛んだ。この勢いは来年も続く」と語り、日本人のロシア旅行が活況を呈していることを伝えた。

 羽田氏はそのほか、日露両政府の経済・人的交流促進に向けた取り組みにおいて組織された北方領土などへの視察団に、JATAや他の会員企業が参加していることについて述べた上で「旅行業界の活躍は大きな影響を与えている」と強調。「我々も独自の質の高いサービスで魅力的な旅行商品作りに努めている。ロシア旅行の市場は小さいが、可能性は大きい。大きな成果を上げることが我々の使命」と意欲を示した。

セルゲーエフ氏  続いて挨拶した在日ロシア連邦大使館総領事参事官のミハイル・セルゲーエフ氏は、16年12月に大統領のウラジーミル・プーチン氏が来日して首脳会談をおこなったことによりビザの取得要件が緩和され、人的交流の拡大に弾みがついたことを説明。「今年は既に前年比18%増の5万6000件以上のビザを発給した異例の1年だった。今後も全力を尽くす」と語った。今夏にはウラジオストクから入国する日本人旅行者向けに電子ビザの発給も開始しており、発給件数増加の勢いは著しいという。

 来年については、6月に日本代表も出場するサッカーのワールドカップが開催されること、両国政府が「日本におけるロシア年」「ロシアにおける日本年」と定めていることについて述べた上で、「お互いに多くのイベントの開催を予定しており充実した1年になると思う。将来に向けて努力していきたい」と語った。

 なお、今年9月に日本とロシアの観光当局は、今年2月に合意した「2019年までの共同活動プログラム」の改正覚書に署名。すでに掲げている19年の交流人口25万人の目標に加えて、新たな目標として18年に22万人をめざすことで合意している。観光庁によれば15年の訪露日本人旅行者数は約8万7000人、訪日ロシア人旅行者数は5万5000人で、合計では14万人強。16年の旅行者数については発表していないが、今年の1月から8月までについては日本人は16年比2割増、ロシア人は4割増で推移しているという。

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