ミキ、HIS子会社化後も「中立」維持-ネット販売で合弁会社検討

  • 2017年5月16日

▽2社でオンライン事業を強化、仕入れは「事業ごと」など検討

檀原氏  オンライン事業については、HISとの協業を強化する考え。ミキグループでは02年からオンライン事業として、国内外のOTAなどに専用のシステム経由で宿泊施設を卸売しているところ。同グループの売上に占める割合はオンライン事業が6割、ランドオペレーター事業が4割という。檀原氏は、OTAの伸長や旅行会社のFIT化が進むなか、OTAとの競争力を強化するため、オンライン事業をHISと一本化する方針を説明。具体的な時期は未定だが、「オンライン事業を分社化してHISと合弁会社を立ち上げるか、ミキグループからHISの直下に移してHISが運営するかを検討している」と話した。

 同氏は「OTAにない我々の強みは、現地拠点の多さと仕入力」とコメント。「ホテルを売るにしても、(OTAのように)お客様が選ぶのではなく、我々は理由を持って提案できる」と話した。今後は航空券やホテルと現地の送迎や体験型素材などを組み合わせたパッケージツアーなどを、インターネット上でFIT向けに提案していく考え。ターゲットは日本を含むアジアの旅行者で、ミキが欧州への旅行を、HISがアジアなどへの旅行を販売。南米など共同で実施する方面もあるという。

 さらに、檀原氏は宿泊施設などの仕入れ体制について言及。ランドオペレーター事業とオンライン事業の仕入れについて、「今まで通り事業ごとに担当を完全に分けて実施するか、先程述べた新しいオンライン会社を設立し、ミキグループがその会社に卸すかを検討している」と述べた。

 ただし、檀原氏は宿泊施設が年間契約で一律決まった料金を提示する場合、「(旅行会社経由の)グループ向けの料金なので、オンライン販売では利用しないでほしい、という宿泊施設側の要望が年々強くなってきている」と説明。「今の潮流では、グループとオンラインの仕入れを分けたほうがいいのでは」とコメントした。

 このほか、2社間での人材交流については、HISのタイのグループ会社にミキ・ツーリストの社員を派遣し、タイ発欧州旅行の造成などで協力している旨を説明。「日本以外のアジアのお客様に対して、HISと協業を強めていく」考えを述べた。