itt TOKYO2024

Google検索ランキング、16年は訪日26%増、「マイクロモーメント」に好機

▽モバイル化進み、「瞬間」の検索増加

 ご多分にもれずモバイル化が進んでいるのも特徴のひとつ。16年1月から10月までの期間にモバイル端末でおこなわれた旅行関連検索は、世界全体で前年の同期間から38%増加。すべての旅行関連検索におけるモバイル端末の割合は全世界で43%となり、特にアジア太平洋では55%、日本も63%となっている。

 また、オンライン旅行市場におけるモバイル端末の利用割合も、例えば日本では13年に17%であったところから31%に増加しており、さらに中国では14%から53%と驚異的な伸びを示したという。

 モバイル端末からの検索で特徴的なのは、英語でいえば「○○ near me」、日本語では「近くの○○」といったキーワードが全世界の平均でPCの約3倍となること。GoogleのテレビCMで「近くの焼肉ランチ」と音声検索しているのがまさにこれで、例えば「Sushi near me(近くの寿司)」「Sushi Place Near Me(近くの寿司屋)」「all you can eat sushi near me(近くの食べ放題の寿司)」といった検索がなされている。

 こうした「寿司が食べたい」といった欲求が発生する瞬間をGoogleでは「マイクロモーメント」と定義付けており、今後はインバウンドでもこのマイクロモーメントへの対応がますます重要になってくるという。例として日本到着後の「Things to do in ○○※地名(○○ですべきこと)」といった検索が16年は37%増えているが、これらもユーザーのマイクロモーメントの表れで、そこに広告を提示することで増収を実現している企業も増加している。

 ちなみに、留意すべき傾向としては、この地名部分に「Tokyo」や「Japan」などよりも「Roppongi」や「Odaiba」など、より具体的なものが指定されるようになりつつあるという。

 このほか、旅行関連企業と消費者の接点「タッチポイント」のうち、オンラインなどデジタルのタッチポイントも増加。タッチポイントとは、例えば新聞やテレビの広告、営業担当の社員など様々な物事を含むが、デジタルのタッチポイントは主にバナー広告やウェブサイトの利用など。

 Googleの調査によると、例えばあるタイミングからさかのぼって4ヶ月間で3回の旅行をした「ウィリアムさん」は、その期間で7000回を超える旅行関連のデジタル・タッチポイントがあったという。その内訳では、OTAとのタッチポイントが3529回と最も多かったほか、ストリートビューやマップ、地図も1400回以上利用。Googleでの旅行関連検索も534回実施した。

 なお、訪日外国人旅行者にとって大きな目的の一つが日本での食事体験だが、英語での検索動向は地名と同様、順位に変化はあっても上位10位の項目は変わらず。一方、中韓2言語では中国語で肉じゃがや納豆、ふぐなど、韓国語でアンパンやオムライス、ちくわなど、これも地名同様、英語とは異なる選択肢が上位に入っている。