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ANAグ、九州支援で10万人送客へ、旅行会社や自治体と協力

  • 2016年7月6日

▽KTPO、ふっこう割で150万人泊目標に、旅行会社は「正確な情報を」

KTPOの高橋氏  本誌の取材に応えたKTPO専務理事兼事業本部長の高橋誠(※高ははしごだか)氏は、九州旅行の現在の窮状について説明した。KTPOでは2013年に官民合同で「第2期九州観光戦略」を策定。23年度の目標として観光消費額3兆5000億円、訪日外国人数440万6000人、延べ宿泊者数6510万人泊を掲げ、「15年度は目標に届くのところまでいき、(地震が発生した)16年4月時点では目標の上方修正も検討していた」が、地震により観光客が激減したという。

 同氏によれば、1月から3月までの訪日外国人数は前年比30%増だったが、震災後は10%減まで減少。国内旅行では、全観光客数の4割から5割程度を占める九州内の観光客は「細かい被災状況が伝わっていることから戻りが早かった」が、九州外からの観光客は落ち込んだ。ビジネス需要が多い福岡県などは回復が早いが、熊本県や大分県などは苦戦が続いているという。

決起集会には各県のゆるキャラが参加した  同氏はふっこう割やANAHDのプロジェクトの効果による夏の需要回復に期待を示した。ふっこう割については、目標として「延べ宿泊者数150万人泊」を設定したという。九州の現状については「被災地域はあるが、ほとんどは元気。体感できる余震もほとんどない」と語り、旅行会社に対して「正確な現地情報を消費者に伝えてほしい」と呼びかけた。

 このほか、決起集会では九州7県の担当者が回復に向けアピールした。熊本県観光連盟専務理事の河野靖氏は、被災した阿蘇地域について、被害は限定的であり、多くの施設は通常通り営業している旨を説明。石垣などに被害があった熊本城については、熊本城公園の一部地域の立ち入りが可能になったため、櫓や石垣を近くで見学できるようになったことを伝えた。現在はボランティアガイドが復興の状況を説明する体制も整えており、「今しか見られない熊本城が見学できる」という。