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旅行会社と宿泊施設でWin-Winの関係を-JATA経営フォーラム

  • 2016年4月14日

仕入れから販売までのあり方を見直し
宿泊施設と消費者から選ばれる旅行会社に

旅行会社と宿泊施設の関係に変化が
協力関係を再確認し需要拡大へ

JTBの今井敏行氏  モデレーターを務めたジェイティービー(JTB)取締役旅行事業本部長の今井敏行氏は、大手旅行会社ごとに組織されている協定旅館連盟と宿泊施設の関係の変化についても言及。業界内では「連盟離れ」との言葉が聞かれるようになり、経営者の世代交代などでいずれの協定旅館連盟も会員数は減少傾向にあるという。このことについて根本氏は「メリットがないと考える宿泊施設も多い」と伝え、山口氏は「連盟だけでなく、旅行会社の支店との付き合い方も希薄になってきている」と説明した。

 原氏は、若い世代の経営者たちのなかで連盟離れが進みつつある現状について、「昔は旅行会社からの送客数が圧倒的で、旅行会社としっかりお付き合いをしておけばとりあえず集客できていたが、そういう時代ではなくなったためでは」と指摘。「OTAが増え、自社で集客できる手段ができたことに加え、『販売チャネルよりも宿泊プランをどう強化するか』という議論が増えてきており、お付き合いの仕方が変わってきている」と考えを述べた。

 そのほか、リアルエージェントに対する期待として、山口氏は「地域の旅館と一番近い存在である旅行会社の各支店が、DMC(Destination Management Company)的な役割を担ってもらえるとありがたい」と要望。根本氏は地域振興とインバウンド拡大による地方分散化を求め、「観光資源の共同開発や、着地と発地のプロモーションなどをともに進めたい」と語った。原氏はOTAでの販売手数料の値上げについて言及し、「OTAは旅行者へのマーケティングをおこなうために手数料を上げていると思うが、既存の需要の獲得をはかるばかりで、新たな需要の創出への取り組みがない」と指摘。「旅行の総需要の拡大」への協力を求めた。

日本旅行の吉金嘉洋氏  これらの意見を受けて、旅行会社の代表として登壇した日本旅行取締役常務執行役員営業企画本部副本部長企画・開発部長(当時。現在は同社取締役兼常務執行役員)の吉金嘉洋氏は「仕入れのあり方が問われている」と述べた上で、「仕入れから商品の作り方、販売の仕方まで一貫して、預かった部屋をいかに消化していくか、さらに真剣に取り組みたい」と決意を示した。また、「OTAであれリアルエージェントであれ、選ぶのはお客様。我々はこれからも選ばれるリアルエージェントでありたい」と強調した上で、「旅行業の利益の根幹である宿泊券を売るため、変化に対応していく。宿泊施設には引き続きWin-Winの関係をお願いしたい」と語った。