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訪日1億人に向け星野氏、楽天山本氏ら議論-新経連サミット

(左から)柴田氏、山本氏、ランダース氏、星野氏 新経済連盟は4月7日と8日に「新経済サミット2016」を開催した。多数の基調講演やパネルディスカッションがおこなわれたなか、8日の「超観光立国(おもてなし立国)への道のり」では、星野リゾート代表の星野佳路氏や楽天執行役員トラベル事業長の山本考伸氏など4名のパネリストが登壇。同連盟が2015年2月に発表した提言「観光立国2020」で掲げた、2030年の訪日外国人旅行者数1億人、訪日外国人旅行消費額30兆円の目標について、取り組むべき課題などを議論した。

星野リゾートの星野氏  星野氏は、30年の日本における総旅行消費額の推計を発表。日本の人口減を想定した上で、日本人の国内旅行需要が維持され、訪日外国人旅行者数が8000万人に増えるという「うまくいく状態」となった場合、日本人の国内旅行消費額が16兆9000億円、海外旅行消費額が1兆3000億円、訪日外国人旅行消費額が8兆8000億円となり、合計で27兆円になると予想した。

 星野氏は日本人の国内旅行需要の減少により、14年の総旅行消費額が前年比5.1%減の22兆5000億円に減少したことを説明。「旅行消費額の9割は日本人の国内観光であり、巨大な需要がある。(総旅行消費額を)30兆円に伸ばすためには、訪日旅行を増やす以上に、国内旅行をいかに維持するかが重要」と語った。あわせて、20代の国内旅行が減少していることを問題視し、「若い時に旅行する習慣がつけば、結婚後や子供が生まれてからも旅行を続ける」と述べ、若者の需要喚起の必要性を強調。公共交通機関や観光施設などで「若者割」を設けることを提唱し、観光業界全体で需要喚起に取り組むよう呼びかけた。

 訪日旅行については、1人あたりの消費額を高める必要性がある旨を強調。訪日外国人旅行者数1億人、訪日外国人旅行消費額30兆円を達成するためには、人数を15年の約5倍、消費額を約8.6倍に引き上げなくてはいけないことについては「滞在を極端に長くする観光に転換していくしかない」と語り、一例として医療観光による長期滞在を挙げた。

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