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年頭所感(2)新たな提案で収益基盤強化、さらなる成長の1年に

▽ジャルパック代表取締役社長 藤田克己氏

 昨年は「爆買い」が流行語大賞に輝くなどインバウンドが社会現象となり、日本の旅行業界は大きな転機を迎えた年だった。16年はツーウェイツーリズム、グローバルツーリズムの実現に本気で取り組まなければならない重要な年であり、日本人の海外・国内旅行を生業とするジャルパックの果たす役割は大きいと言えるだろう。

 海外旅行ではパリのテロの影響が懸念されるが、円安傾向も一巡し、消費者の感覚としては常態化してくると想定されるので、アウトバウンドの復活が期待できる。特に中国、韓国の回復や、テロの影響で需要のシフトが想定されるハワイやオーストラリアなどの需要が増加するだろう。昨年11月に開設した、日本航空(JL)の成田/ダラス・フォートワース線を利用した商品造成にも力を入れていく。また、CクラスやYPクラスを使った、上質感、高級感、ゆったり感のある商品を拡充し、お客様のニーズに応えていきたい。

 国内旅行では、15周年を迎える東京ディズニーシーとユニバーサル・スタジオ・ジャパンや、北海道新幹線の開業に伴う旅行需要の拡大に期待しつつ、昨年に勢いのついた「地方創生」の流れを一過性のものにしないための取り組みを、官民あげて推進していくことが重要だ。施設の仕入れがますます厳しくなるなか、地方にはまだ余裕がある。伸長するダイナミックパッケージを含めて、お客様に「いい旅、あたらしい旅。」を提案し続けられるよう、社員一同頑張りたい。


▽東武トップツアーズ取締役社長 坂巻伸昭氏

 2015年4月の東武トラベルとトップツアーの合併を機に、旅行業の原点に帰り、両社の良い面を活かして仕事の中身の見直しを進めてきた。社員が前の会社に捕らわれず業務を遂行しており、社員の士気も高まっている。

 今年は統合効果のさらなる追求をはかるとともに、20年を見据えた5ヶ年計画のなかで、インバウンドと地方創生、スポーツ・文化を中心テーマとした取り組みを強化する。会社の経営理念である「Warm Heart~ありがとうの連鎖を~」を追求し、お客様に喜んでいただけるサービスと商品を提供していく。

 また、「本当の日本の素晴らしさ」を知っていただけるような観光素材やコースを、パートナー、地域の皆様とともに発掘し、魅力ある旅行商品として提供する。外国人観光客だけでなく日本のお客様にも「新たな感動」を与えるような取り組みを進めていきたい。


▽日本航空代表取締役社長 植木義晴氏

 今年は2012年に策定した5ヶ年の中期経営計画の最終年だ。計画策定以降、世界の政治や経済は大きく変化を続けており、航空業界を取り巻く環境も、為替や燃油市況の大きな変動、訪日旅客数の大幅増など、当初では想定し得なかった変化が生じている。16年は計画の最終年として、全社員が一体となって「3つの経営目標の達成をなんとしてもやり遂げる」という強い意志を持ち、さまざまな変化に対応すべく挑戦を続けていく。

<経営目標>
1.安全運航はJALグループの存立基盤であり、社会的責務であることを認識し、輸送分野の安全のリーディングカンパニーとして安全運航を堅持する。
2.お客様が常に新鮮な感動を得られるような最高のサービスを提供し、16年度までに「顧客満足No.1」を達成する。
3.景気変動やイベントリスクを吸収しうる収益力、財務基盤として「5年連続営業利益率10%以上、16年度末自己資本比率50%以上」を達成する。

 また、引き続き商品やサービスの品質向上を進める。新座席や機内インターネットサービスのさらなる充実をはかるべく、国際線では「JAL SKY SUITE」の展開を進め、国内線では「JAL SKY NEXT」による運航便を増やす。さらに、他の航空会社との共同運航やマイレージサービスの提携強化を進め、お客様の利便性向上をはかる。「世界で一番お客様に選ばれ、愛される航空会社」をめざし、社員1人ひとりが付加価値の高いサービスを提供するよう努めていく。


▽ANAホールディングスCEO 片野坂真哉氏

 全日空(NH)は今年、国際線就航30周年を迎える。国際線を開設した1986年度のANAの売上は4800億円。国内線が4500億円を占め、国際線は150億円だった。2015年度の売上予想は1兆7900億円。国際線収入は6000億円まで伸びて、旅客便は今や39都市59路線にまで拡大した。30年は決して簡単な道のりではなく、国際線撤退が真剣に議論された時代もあった。NHの国際線を支えてくださったお客様に改めて感謝申し上げるとともに、グループ全社員の努力に敬意を表する。

 15年の国内線の実績は生産量を減らしたにも関わらず、収入が前年より増えた。今後、旺盛な訪日外国人需要の勢いを日本の地方創生に活かすという国家レベルの構想の実現を見据えると、際内を区分する時代は終わりを告げつつある。

 今月末には20年までの新中期経営戦略を発表する予定だ。国際線で成長するという長期戦略構想で掲げたビジョンをより具体的に精査し、ANA、バニラ、ピーチブランドでネットワークを拡大していく。「成長」「財務体質強化」「株式還元」「人財育成」「ダイバーシティ&インクルージョン」などのキーワードをもとに、グループの持続的な成長を支える戦略と具体策を明らかにしていく。

 経営環境が変化しても、諸先輩から引き継いだ「安全をしっかり守れ」という教え、独立独歩の精神、持株会社制になってもエアライン事業が根幹であり続けることを、全社員と共有していきたい。知恵と工夫で商売の道はどんどん広がっていく。あらゆる社員がイノベーティブなANAグループを作り上げていく、そういう新しい年にしたい。