済州、KE直行便運休後も日本に注力-エアプサンが名乗り

観光客呼び戻しに向けファム共催
釜山経由で再提案めざす

BXの機内から見下ろす済州島  済州観光公社とエアプサン(BX)はこのほど、旅行会社を対象とする2泊3日のファムツアーを共催した。大韓航空(KE)が10月25日から済州/成田、関空線の運航を休止し、当面は日本/済州間の直行便がなくなることを受けたもので、東京と福岡から約20名が参加者し、同公社が訴求する新たな観光資源を視察。済州観光公社は日韓間の政治的摩擦などにより減少を続ける日本人旅行者の呼び戻しを、BXは済州島に近い釜山をハブとするネットワークを活かし、ビジネスチャンスの拡大をはかりたい考えだ。


MERS発生などで日本人減加速、全外国人の3%以下に

釜山の空港で済州島への出発を待つBX機  KEによれば済州/成田線は2002年4月に、関空線は1981年2月に運航を開始。ともに長期にわたり運航を続けたが、関係者によれば2路線はともに「搭乗率は良いが収益性は低い」路線で、来年の夏ダイヤ以降の復便についても「かなり厳しい」状況にあるという。これらの路線の運休により、済州島への日本人旅行者はさらに減少することが予想されるが、そこで送客役として名乗りを上げたのが、釜山に拠点を置き、日本路線の拡充を進めているBXだ。今回のファムツアーも、BXの呼びかけにより実現した。

BXの本社。釜山商工会議所内にオフィスを構える  BXは2007年にアシアナ航空(OZ)や地元企業などの出資により設立されたLCCで、日本路線については10年春に釜山/関空、福岡線に就航。続いて11年6月には成田線の定期便も開設している。10月25日からは1日3便で運航している福岡線を1日4便とするほか、週18便の関空線も毎日3便に増便。さらに12月3日には、釜山/新千歳線も週3便で新設する。韓国の南部に位置する釜山から済州島までの所要時間は約1時間。直行便運休後の日本人旅行者の送客については、最も力を増すキャリアの1つと見られる。

済州観光公社の本社が入居する「済州ウェルカムセンター」。観光案内所などもある  なお、済州観光公社によれば、同島を訪れる日本人旅行者は、09年から12年までは18万人前後で推移していたものの、13年には12万8879人に減少。14年も9万6519人へと大きく減っている。中東呼吸器症候群(MERS)の影響を受けた今年も、7月までの累計が4万969人と低迷していることから、通年で前年比減となる可能性は高い。済州島の本社でプレゼンテーションをおこなったマーケティング事業部主任の呉基雄(オ・ギウン)氏は「今年は大変な年になる」と述べ、日本人旅行者数が危機的な状況にあることを強調した。現在の外国人旅行者数における日本人の割合は、実に3%弱にまで低迷しているという。