インタビュー:JTBワールドバケーションズ添乗員の磯部正春氏

  • 2015年9月17日

一番印象に残った添乗は

磯部 2007年のクロアチアのツアーです。日本航空(JL)のチャーターで実施したものですが、当時のクロアチアは日本人を受け入れる体制が整っていませんでした。このため、私1人でクロアチアに先乗りし、下準備のため1ヶ月くらい現地に滞在して、事前にホテルやバス、航空会社、空港のスタッフと受入準備を進めました。

 滞在中はクロアチア中を周りました。JTBのツアーはバスタブ付きで、宿泊する部屋のクオリティが求められます。お客様の動向を見ながら6つのホテルを先回りして、部屋がJTBの求める条件を満たしているかを確認し、お客様をお迎えしました。

 添乗員から見るツアーの流れと手配の方から見るツアーの流れは全く違います。いくらお金をかけてもお客様に楽しんでもらえるとは限りません。例えば有名なホテルの宿泊はお客様が楽しみにするポイントですが、最終的にお客様目線で見ると、ホテルのランクを1つ落として部屋をスイートにした方がいい場合もあります。


近年では旅行者のFIT化が進んでいますが、パッケージツアーの魅力を改めて教えて下さい

磯部 パッケージツアーの魅力は、安心であることと、料金がリーズナブルであること。面倒な手続きもありません。1人で簡単に行けるところであればいいですが、例えばスペインの田舎など、鉄道もない場所は個人旅行だと大変な思いをしますが、パッケージツアーではバスが荷物を積んでくれて、次の目的地まで連れて行ってくれます。

一方、個人旅行の楽しさは、自分でツアーをプランニングすること。旅行は、パッケージツアーに個人旅行の要素を入れているものが理想だと思います。現地では個人旅行をするけど、添乗員がそばにいるから安心で動けるというツアーづくりがベストです。

 また、年齢的な問題からパッケージツアーを選ぶ方もいらっしゃいます。ここ数回年配の方が参加するツアーに添乗していますが、何人かのお客様から、今までは個人旅行を楽しんでいたが、今回はじめてパッケージツアーに参加するということを伺いました。年齢的に荷物を持ったり予定を作ったりするのが大変とのことですが、最近はそういう人が増えています。自分の足で動けるバイタリティがあればよいですが、そうでないのであればパッケージツアーは1つの選択肢となります。ご家族の方もツアーの方が安心すると思います。