itt TOKYO2024

現地レポート:台湾、台中の魅力発掘で地方送客を

  • 2015年7月28日

台中メインの商品造成へ、「台湾のウユニ」や「虹の村」

課題はアクセス、工夫で克服を

高速鉄道は日本のN700系がベース。各列車ともビジネス車両、普通車両(指定席・自由席)に分かれている

 台中に限らず、あるいは台湾に限らず、地方への需要の分散を考える上で最も大きな障壁はアクセスだろう。台中へも、日本からは遠東航空(FE)の関空線定期チャーターとマンダリン航空(AE)の沖縄線があるのみ。こうした事情もあって、台中へのパッケージ商品の多くは周遊型であり、台北もしくは高雄から陸路で台中を訪れるパターンとなる。

 その際、空路もあるにはあるが、台北と南部の中間地点にある都市であり高速鉄道で1時間、在来線だと2時間、高速バスでも2時間半程度しかかからず、国内線を利用するほどではない。

今回は台北からバスで移動する途上、台中の南東部・埔里にある台湾随一の紹興酒工場も訪問

 ここで課題となるのは陸路のコストで、例えばバスの場合、台中にバス会社が少ないために台北などからバスを持っていかなければならず、このコストが旅行代金に跳ね返ってしまう。高速鉄道の運賃はさらに高くつく。

 とはいえ、キャパシティの面でもリピーター獲得の観点でも、台北への一極集中に限界があることは今回の研修参加者たちも認めるところ。そうであるならば、台北のモノ商品に対して割高となる旅行代金にいかに見合った内容とするか、そしていかにそうであると伝えるかが重要であり、逆にその実現は、単価の上昇とお客様の満足度の向上の両立を意味する。

魅力の伝え方も様々。最近は「バズる」、つまり一つのクチコミから大きなブームが起きることもある

 内容については、先述のように台中にしかないもの、ここでしかできないことがある。また、バスならば車窓からの景色、サービスエリアや道中の観光スポットへの立ち寄りが可能な点はメリットであり、また高速鉄道も日本の新幹線がベースとなっているので乗り心地が良く、お客様によっては乗車体験そのものも旅の思い出となるだろう。

 伝え方についても、例えば観光局と協力して「台湾のウユニ」を打ち出しネット上での拡散をねらっても良いかもしれない。また、別の角度からの対策として、条件付きだがチャーター便にも観光局からの補助金が設定されているところ。今秋には台中空港への修学旅行で支給が決まっているという。商品の多様化を実現するためには、既存の2定期路線の活用を含め、こうした様々な工夫の組み合わせが求められる。