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現地レポート:南アフリカ、雄大な自然と都会のコントラスト

  • 2015年7月7日

自由への闘争の歴史を各地で体感
美しい自然やワイナリーも

見どころが詰まったケープタウン
マンデラ遺産から自然、ワイナリー訪問まで

ケープポイントへの坂道から喜望峰を望む。5月はアロエの花の季節 テーブルマウンテンのふもとに広がるケープタウンは、南部アフリカ屈指の国際観光都市。喜望峰やテーブルマウンテンの絶景、固有の動植物、ネルソン・マンデラが収監されていたロベン島などの歴史に触れられるほか、ワインの名産地も近く、さまざまな魅力が詰まっている。

遊歩道からペンギンたちを眺める(ボルダーズビーチ) ケープタウンの象徴がテーブルマウンテンだ。ロープウェイで頂上に着くと真っ青な海と街が一望でき、遊歩道を歩けば岩場に生息するフィンボスを観察できる。さらに、観光のハイライトとなるのがケープ半島ツアーだ。ドイカー島の岩いっぱいに寝そべるミナミアフリカオットセイに船でぎりぎりまで近づき、風光明媚なチャップマンズピークドライブの海岸線を抜け、東海岸のボルダーズビーチでアフリカンペンギンのかわいらしい姿を見学。海沿いのレストランでシーフードを堪能したら、喜望峰で大航海時代に思いを馳せ、ケープポイントの旧灯台から絶景を望む。

 また、ツアーで訪れるケープ半島国立公園は世界遺産のケープ植物区保護地域群の一部。ケープ半島の北、テーブルマウンテンの東側にはケープ植物区に生息する植物7000種が集められたカーステンボッシュ植物園があり、ゆったり歩きながらプロテアなどの固有の植物を見学できる。

ロベン島ではかつて実際に刑務所に収容されていたガイドが説明してくれる ケープタウンにあるもうひとつの世界遺産がロベン島だ。島へはウォーターフロントからフェリーで約45分。島内を移動するバスからはパン・アフリカニスト会議を率いたロバート・ソブクウェ氏が幽閉された家、マンデラ氏達が強制労働させられた採石場などが窓越しに見える。刑務所内に入ると、案内役の元政治囚から、囚人でも人種によって食事や服が違った、などという当時の話が語られる。ケープタウン在住ガイドの佐藤嘉哉氏によれば「ロベン島はアパルトヘイト政権下の有色人種への抑圧を象徴する場であると同時に、囚人同士でこの国の未来を語った場所」で、新憲法の元になる草案もここで話し合われ、お互いを教え合う教育の場でもあったという。

グループ用にテイスティング用の部屋を用意(ゼブンバクト) ワイナリー訪問もケープタウンでの楽しみのひとつ。南アフリカは「新世界」で一番古い1659年にワイン造りを開始。ヨーロッパの宗教改革でフランスからブドウの生産に長けたユグノー(フランスの清教徒)が入植したことで質のよいワインが生産されるようになった。

 ケープタウンから車で45分のステレンボッシュ周辺は一大ワイン名産地で、ピノタージュもこの地で開発された品種だ。今回訪れたゼブンバクトは、伝統的な手法に加え新しい製法にも取り組み、幅広い製品を造る規模の大きいワイナリー。テイスティングができるほか、レストランや宿泊施設も併設し、ウェディング会場としても利用され、敷地内でピクニックも楽しめる。「最近はFITのお客さんでワイナリーを指定する人も出てきた」(佐藤氏)というほど南アフリカワインの人気は高まっている。