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韓国、15年日本人は300万人目標、地方強化で旅行会社に協力要請

  • 2014年12月18日

700万人達成は2年以内
日本人回復で地方観光強化

15年は地方観光に注力
旅行会社に販売の協力呼びかけ

10日におこなわれた意見交換会の様子  意見交換会では、KTO側から2015年の重点項目として、地方観光に注力していく方針が改めて強調された。林氏は訪韓日本人の6割はリピーター層で、地方への需要はあるが、旅行会社のツアー不足からなかなか訪問できない状況にあると指摘。「将来はFITが自分の足で行く環境が訪れるかもしれないが、まずは旅行会社の力を借りて送客をする必要がある」とし、旅行会社に商品造成、販売促進の協力を求めた。

 KTOでは日本市場でのマーケティング戦略として、地方観光の活性化、早期需要回復、団体旅行市場の回復、FIT集中型マーケティング、高付加価値商品の拡大を掲げているところ。林氏はこのなかでも地方観光の活性化が重要であるとし、地方別の特徴あるコンテンツを活用したSIT商品の開発拡大、地方をめぐる高付加価値商品の強化を進めていくと説明した。また、地方観光では訪れるべき場所を「MVP(Must Visit Place)」としてブランド化する事業や、ソウルなどから地方観光シャトルバスのコースの開発を本格化する。バスについては今年から試験的に取り組みを開始しており、今秋には旅行会社の協力のもと、全州に200名送客したという。

JATA広報委員会委員長の林田建夫氏 JATA広報委員会委員長でエヌオーイー(NOE)代表取締役会長の林田建夫氏も、地方活性化の必要性を強調。現在は韓国はFITやフリープラン型のツアーが主流であり「日本の旅行業界関係者も、韓国に来たことがない人はかなり多く、来た人もソウルに約80%と集中している」という。しかし、今回のFAMツアーで地方を訪問したことで「目で見て肌で感じたものを、自信をもってお客様に販売していく。新しい韓国として地方の魅力を今回を契機に伝えていけるのでは」と期待を示した。

 2日目のソウル発コース。715名が参加した 今回のFAMツアーでは2日目にソウル6コース、釜山3コース、済州島1コースに別れ、地方観光の可能性を探るべく日帰りの視察ツアーがおこなわれた。ツアー参加者からは、「なかなか訪れることができない地方に訪問できた。まずは旅行者に情報を積極的に発信していく必要がある」という意見や、地方の観光コンテンツを組み込んだツアーやオプショナルツアーの造成に意欲を示す意見が出された。その一方、宿泊施設や交通面の課題を指摘する声や、限定的なテーマであることからSIT商品として工夫が必要との声もあった。

 例えば「南漢山城、水原華城の世界文化遺産」コースでは、ソウルから1時間半程度という近距離にある点や、世界遺産というフックがあることから、参加者からはツアーに組み込みやすく、半日のオプショナルツアーとして商品化できるとの声が挙がった。南漢山城周辺にはトレッキングコースもあることから、シニア向けのトレッキングツアーの造成の可能性を指摘する意見もあった。

平昌・江陵の江原地域コースではアルペンシア・リゾートのスキージャンプ台を視察  一方、2018年にオリンピックが開催される「平昌・江陵の江原地域」コースや、「丹陽八景・忠州湖の忠北地域」コースなど、ソウルからバスで2時間半から3時間半の距離や、観光地間の移動を考慮すると、宿泊しゆっくり訪問する必要性を説く意見もあった。

 また、各コースとも参加者からは「FITではなく、旅行会社のガイド付きパッケージツアー」で周ることを推奨する意見が出された。地方観光については、観光間の移動の問題からバスによる足と、よりコンテンツを理解するためにガイドによる解説が必要との指摘もあり、「地方観光は旅行会社ならではの強みが活かせる」と、意欲を示す参加者の姿も見られた。


取材協力:日本旅行業協会(JATA)、韓国観光公社(KTO)
取材:本誌 栗本奈央子