itt TOKYO2024

インタビュー:ジャッツ東京ツアーコンダクターセンター添乗員の原好正氏

  • 2014年8月28日

参加者に話を聞いてもらう工夫が重要
現地情報を活かしたゆとりのあるツアー造成を

-パッケージツアーの添乗の際に心がけていることは

添乗の様子  パッケージツアーのお客様については、いかにこちらの話を聞いていただけるかに力を入れています。通常の環境や仕事から離れ、ある意味興奮状態で旅行しているので、話を聞いてもらえないことが多いです。一般的に、添乗員は同じことを3回言えと言われていますが、いかにお客様に聞いていただけるか、環境を作るのがカギだと思います。

 私の場合は、毎日先のことまでご説明します。とはいっても、初日は駄目です。お客様は12時間以上のフライトで疲れており、バスに乗った途端ほとんどが寝ています。そういう時にお伝えしても仕方がないので、朝一番の元気な時、最初の観光地まで30分程度かかるときなどにその日の説明をし、午後遅い時間になると明日の準備や夕食などについて説明しています。

 お客様の緊張をほぐすことも必要です。お客様は海外旅行で言葉の通じない中、泥棒の注意などの話ばかりしているので緊張しきっています。その緊張を少しでも和らげるためには笑いが必要。おやじギャグが多いと会社では言われますが、冗談をいうと気分がほぐれますし、聞いていただけるようにもなります。


-添乗員に必要なものは何だと思いますか

 添乗員に一番必要なことは、サービス精神を基本に持つということです。その上で、プレゼンテーション能力と語学が重要でしょう。いかに無形の旅行商品をプレゼンテーションし、お客様に行ってよかったと思っていただけるのか。お客様は十人十色で、こちらが良かれと思ってやったことが、全員に受け入れられるかは別問題ですので、注意が必要です。旅の本質、楽しみ方は人それぞれですから、日本と海外を結ぶ旅のプロとして、現地事情を的確にご案内すること、それが基本だと思います。

 語学については、血の滲むような努力をしました。1976年にアルジェリア北東部のコンスタンティーヌにツアーで訪問した時、現地ガイドはフランス語でした。フランス語は大学で学んでいましたが、とても会話ができるレベルではなく、とにかくカンを働かせて頑張りました。それが語学を絶対やらなきゃいけないと思ったきっかけです。

 言葉が喋れると、お客様からの信頼感も高まります。添乗のテクニックかもしれませんが、例えばギリシャのレストランで「オレンジジュースをください」をギリシャ語で話すと、お客様が「この人はギリシャ語も分かるのか!」と思い、安心してくれるようになります。

 また、情報収集と応用力、危機管理能力は重要。イレギュラーが起きた時にどうお客様に示すのかが大切です。例えば空港でバスを待つ場合、お客様は情報がわからないままだと不満や怒りを覚えるので、バスは交通事故で道が渋滞していて遅れているなど、しっかりと情報を提供する必要があります。もちろん、事故を未然に防ぐことも大切です。お客様に注意事項をお伝えしても、右から左に聞き流される場合もあり、いかに聞いていただけるかを考えています。