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LCC、浸透拡大も利用者の3割が「価格上がった」-JTB総研調査

  • 2014年7月31日

 JTB総合研究所は、このほど実施した「LCC利用者の意識と行動調査2014」の結果を発表した。LCCのイメージや利用実態、今後の利用意向などを聞いたアンケート調査で、昨年7月に続き2回目の実施となる。今回は7月11日から13日にかけて、関東・関西に在住する18歳以上の男女4万人から、最終的にLCCの国内線を利用したことのある1030人の回答を集計。その結果、若い世代を中心に引き続き利用拡大が進んでいることが判った一方で、約3割の利用者が「最近、価格が高くなってきた」と感じていることなどが明らかになった。

 今回の調査によると、2012年以降に飛行機で旅行した人のうち、LCCの国内線を利用した人の割合は前年比4.3ポイント増の15.8%。年代別では、特に18歳から29歳の伸びが最も大きく、男性は7.8ポイント増の29.7%、女性は6.3ポイント増の22.8%だった。

 LCC国内線の就航前後の変化を聞いた質問では、「同じ行き先でもLCCを選択するようになった」と回答した人が32.5%で最多。次いで「就航がきっかけで国内旅行をした」が28.7%、「旅行回数が全体的に増えた」が23.7%で多く、LCCの就航が旅行機会の増加に大きく影響していることが明らかとなった。「旅行回数が全体的に増えた」と回答した人の年間の平均旅行回数は4.7回で、就航前と比べて2.3回上昇した。

 利用目的については、国内線では観光が73.4%で最も多かったものの、前年からは1.3ポイント低下した。ただし親族の訪問は2.0ポイント増の20.3%、友人・知人の訪問は1.2ポイント増の15.3%とそれぞれ増加傾向が見られ、ビジネス以外のレジャー性の高い利用は全体的に増加したかたちとなった。一方、業務出張の割合は前年比6.2ポイント減の12.7%となり、昨年の2位から4位に順位を下げた。国際線については1位が観光の81.6%、2位が業務出張の16.3%、3位が親族の訪問の15.7%、4位が友人・知人の訪問の14.1%となった。

 利用する理由については、「他の手段より安いから」が国内線87.9%、国際線82.3%でともに圧倒的に多かったが、「価格が高くなってきた」と回答した人も国内線で35.3%、国際線で28.7%いた。JTB総研では、国内線については「本来の価格よりもキャンペーン価格などの印象がまだまだ強いため、今後の理解度向上によりこのような回答は少なくなる」との見方を示す一方、国際線については「実際に付加サービス料金の価格を上げている会社もあるため、意識は強まるかもしれない」としている。

 予約方法については「航空会社のホームページ」が国内線80.5%、国際線72.9%で圧倒的に多く、旅行予約サイトも国内線13.0%、国際線17.5%でともに10%を超えた。「航空券と一緒に予約したいもの」では、国内旅行は「航空券だけでよい」が59.0%で最多。一方で海外旅行は、「現地のホテル」が42.5%で「航空券だけでよい」の35.3%を超えたほか、「LCCを利用するパッケージツアー」が28.3%、「現地の交通手段」が19.5%と比較的多かった。

 評価については、73.6%が「前の座席との間隔が狭い」、57.8%が「飛行機の出発・到着が遅れる可能性が高い」などと回答しており、負のイメージが払拭できていない状況が浮き彫りになった。不便を感じた点については、「搭乗口が遠かった」が国内線47.5%、国際線36.7%でともに最多。次いで「予約の際に付加料金がわかりにくかった」が国内線35.1%、国際線32.7%だった。

 許容できる搭乗時間の長さについては「3時間まで」と回答した人が46.9%で最も多く、「5時間まで」は31.1%、「7時間より長くてもよい」は14.3%となった。「7時間より長くてもよい」については、女性よりも男性の方が多く、特に60歳以上は22.1%、40歳から49歳では20.9%を占めた。