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アクセスランキング、1位はJALインタビュー、タイ情勢も

[総評] 今週は、日本航空(JL)執行役員・西日本地区支配人の中野星子氏のインタビュー記事が1位になりました。地域が限定される話にこれほど多くのアクセスが集まることはあまりないのですが、これもJLだから、あるいは積極的な路線展開の方針を示されているからではないかと推測しています。

 羽田の発着枠を傾斜配分された中で、地方路線に活路を見出している可能性については以前も当欄で触れましたが、どのような事情にせよ地場の旅行会社や旅行者からすれば経由なしで行ける地域が増えるのは喜ばしいことでしょう。中野氏も期待を語られていますが、旅行会社としては復便実現の折に健全な形で“売り支え”ることが大切になります。

 また、気になるのはこれに対するANAホールディングスの戦略です。近く同社執行役員で大阪支店長に就任されたばかりの新居勇子氏にインタビューをさせていただく予定ですが、連結対象外、かつパイロット不足で失速が喧伝されているとはいえ関空で存在感を示すピーチ・アビエーション(MM)もあり、JLや外航、LCCにどのようにして打ち勝っていくお考えかお聞きしてみたいと思います。

 次に2位には、タイで戒厳令が発出されたことをお伝えした記事が入っています。すでにクーデターが宣言され夜間外出禁止令も出されるなど事態が変化していますが、率直にいってしまえば「またか…」というのが正直なところです。戒厳令、非常事態宣言、夜間外出禁止令などがここまで頻繁に出される国も珍しいと思います。

 しかし、それにも関わらずタイが観光客の支持を失いにくいデスティネーションであるということは、さらに珍しいことでしょう。普通であれば諦めというか敬遠されていきそうなものですが、何度も繰り返されていることで、「そのうちまた収まるだろう」「実際のところ観光にはさほど影響がないだろう」という認知が消費者レベルでも広がっているのかもしれません。

 個人的に考えをまとめきれないでいるのは、そうした非常事態の繰り返しが当たり前として受け止められ、耐性ができていくことが良いことなのかどうかです。何か問題が起きても、デスティネーションすべてに影響があるわけではないということが理解されれば、タイに限らず外的要因による需要急減のリスクが少なくなるはずで、それは旅行業界にとってプラスに作用します。

 一方で、安定して何もないのが最も好ましいことはいうまでもなく、「しょうがない」「また何とかなる」といって諦めて思考を停止してしまうのもいかがなものかと思います。そもそも私自身「またか」と感じ、きっと今回も需要の壊滅的な落ち込みはないだろうと思っているわけですが、客観的にはほとんど根拠のない判断です。

 また、非常事態が当たり前になりすぎて本当に非常な事態が起きてから慌てるのではそれこそリスクです。国や地域によって様々な事情があるでしょうし、日本の旅行業界ができることは限られていますが、せめて考えることは続けていきたいと思います。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2014年5月第4週:5月18日0時~5月23日18時)
第1位
インタビュー:JL執行役員・西日本地区支配人の中野星子氏(14/05/20)

第2位
タイで戒厳令、日本大使が注意喚起(14/05/20)

第3位
コスタの日本発着クルーズ、6000名参加-地方需要の獲得も(14/05/20)

第4位
旅行者の満足度が高い都市、1位は東京、2位はNY(14/05/20)

第5位
新規顧客、「旅行以前」から取り組みを-独身層に注目も、WIT Japan(14/05/18)

第6位
空き物件に宿泊、農家民泊の「とまれる」とエイブルが提携(14/05/22)

第7位
フィンエアー、日本支社営業総支配人に永原氏、7月から(14/05/18)

第8位
JTBWV、FIT向け新商品「一定の成果」、認知向上などで増販へ(14/05/19)

第9位
業法改正など議論で報告書、約款は見直しに向け検討継続-観光庁(14/05/21)

第10位
航空戦略課長、仁川とのハブ競争「乗継需要の取込みがカギ」(14/05/22)