バンコクに非常事態宣言、JTBが取消料免除、一部で予約取消も

▽リピーターは通常通り、ビジネス需要の取消も

 タイ国政府観光庁によると、リピーターは通常通り訪問しているが、ファーストタイマーについては慎重に様子見をする動きがあるという。グループについては非常事態宣言を受け取りやめるケースがあるが、2月出発の予約は残っており、バンコクに立ち寄らずチェンマイやプーケットを訪問するなど、行き先を変更するケースも出てきているとした。

 同庁によると、バンコクは反政府勢力拠点以外はほぼ通常通りの状態。反政府勢力はバンコクの7ヶ所を占拠し抗議活動を実施しており、その地域については閉鎖されているが、それ以外は平常通りで公共交通機関も通常通り運転中だ。観光に影響はないとしており、21日に帰国したグループから話を聞いたところ、閉鎖地域以外については影響はなかったという。

 さらに、オペレーターのエーペックスインターナショナルによると、観光需要についてはそこまで大きなキャンセルはないが、ビジネスの視察などについては、安全を考慮し念のためキャンセルするケースが見受けられるとした。

 同社ではバンコクのツアーでは現地に精通したガイドやスタッフが対応し、デモ封鎖地域を回避する形でツアーを催行。交通渋滞が発生しているため、空港へ向かう時間を早めるなど対策しているという。

 現地は深夜に封鎖地域で発砲事件などはあるものの、観光客が通常訪れる場所、時間帯ではなく、タイ在住の人々も夜間の外出は控えているが、通常通り日常生活をおこなっているとした。


▽外務省、スポット情報で注意喚起、閉鎖地域への接近回避を呼びかけ

 今回の非常事態宣言は、1月22日から3月22日までの60日間、バンコク、ノンタブリー県、サムットプラカーン県バンプリー郡、パトゥムタニー県ラートルムゲーオ郡に対して発出されたもの。外務省では非常事態宣言を受け、22日にスポット情報を発出。在タイ日本国大使館でも21日付で注意喚起を発表している。

 非常事態宣言は「非常事態時の国家統治における2005年の勅令(非常事態令)」に基づいており、政府や治安当局に大きな権限を与えるもの。外務省によると、今後不審者の逮捕勾留や証拠品の提出指示、物品の押収、捜索令状などの発布、信書などの検査、騒乱などの禁止、デモ関係者の出国禁止、特定物品の売買の禁止、道路封鎖の禁止などの措置がおこなわれる可能性があるという。

 また、反政府抗議活動の拠点やその付近で爆発、発砲事件が発生しており、17日にはデモ隊、19日にはデモ拠点に対し手りゅう弾を投げ込む爆発事件で死傷者も発生。こうした現状を踏まえ、外務省ではタイに渡航する予定、または滞在中の日本人に対し、報道などを通じて最新情報を入手し、反政府勢力の活動拠点やデモ行進、抗議行動や集会、道路封鎖などを予定されている地域の周辺に近づかないなど、自身で安全確保をするとともに、都内各所で激しい交通渋滞が予想されるため十分注意するよう呼びかけている。